日々是迷々之記
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昨晩は深夜にダンナさんが帰ってきたが、私が残業で燃え尽きていたので焼酎をちょこっと飲んで寝入ってしまった。
今日目が覚めたのもお昼ごろでアタマはひたすらぼーっとしていた。お正月の残りのお餅を使ってぜんざいを作り、それをすすりながらコタツで吉本系バラエティーを見た。う〜ん、のんびり堕落モードなのだ。
「寿司、食べたい…。」ふとダンナさんがつぶやいた。そうだ今日は寿司を食べよう!しかも回っていない寿司にすることにした。決まれば行動は早いさっとぜんざいを完食し、着替えて出かける。目指すは神戸のうを○という店なのだ。
バスに乗り駅まで出て、そこからJRで一路、神戸へ。目的の店は既におばあさんが一人待っていた。10分ほど待ってから、テーブル席へと案内された。早速冷酒とあん肝の付出し、たいらぎという貝のお造りを注文する。
「ううう、うまい…。」あん肝を食べたダンナさんがつぶやいた。どれどれと私も手を伸ばす。「ううう。」今まで食べたあん肝は何だったんだ。う、うますぎる〜。しばしあん肝に静かな賞賛を送る。
次はお寿司だ。ここではお品書きを見て、メモに書いてオバチャンに渡すシステムになっている。まず、白子の軍艦、鰺の棒ずし、蒸し穴子、しゃこの握りを注文した。人肌の白子になごむ。鰺は軽く酢で締めてあり、ごはんと鰺の間に青ジソをはさみ、上に透き通った昆布が乗っている。あまり鰺が好きではないダンナさんもはむはむと食べている。蒸し穴子は小骨のさくさくした感じが皆無で、口の中でばらけてゆく感覚にしばしふらふらする。私は回転寿司などの穴子は好きではないがここの穴子は好きなのだ。
酒は冷酒から熱燗大に変わっている。「来てヨカッタなぁ。」ダンナさんがつぶやく。うん、私もそう思う。上巻をつまみながらしばししゃべる。
そのとき私の背後のカップルの会話が耳に入ってきた。「サザエの肝なんて。自分、アワビの肝、食べたことある?」出た!うんちく男だ。何気ないふりをしてその男の顔を見るとまだ20台前半だ。めがねをかけ、ナニゲにヤンエグ(死語)を気取っているようだ。ダンナさんの顔がニヤニヤしている。そして、つぶやいた。「…、アワビなんか海潜って捕るもんやで。」確かに。
その時私たちに寿司第二弾が運ばれてきた。サバ、こはだ、イワシの青魚3兄弟に、鯛皮の軍艦巻き、かきの軍艦巻きだ。身がしっかりした小ぶりのかきにもみじおろし、ポン酢、アサツキが乗っている。かきの実力を感じずにはいられない。鯛皮はさっと湯通ししたものをもみじおろし&ポン酢で和えてある。独特のぷにぷに感があって、熱燗大を追加注文した。
その間もうんちく男は語っていた。「え〜、天安門広場行ったのに写真撮ってないの?あそこ行って写真撮らないで何してたの?あそこは歴史の…」ほんとにうるさい男だ。お前こそ、寿司屋に来て寿司食べないで何してんねん!もうちょっと酒が入っていたらいぢめているところだった。
しかし、せっかくのいい気分をこのままにしたかったので私たちはその店を後にすることにした。お勘定は占めて6500円くらいだった。いやはやびっくりである。結局熱燗4合、冷酒2合を飲んであれだけ寿司を食べたのに。
二人してニコニコモードで夜道を歩く。今日は幸せな一日だった。
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