日々是迷々之記
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| 2001年12月18日(火) |
いかがなものか、英文レジメ |
明日の面接に備えて必要な物を揃えていた。履歴書サイズの写真一枚、履歴書、シャチハタ以外の印鑑、職務経歴書、そして英文レジメが一枚。
わたしが応募した仕事は派遣会社から紹介される翻訳の仕事である。といっても時給からして翻訳メインではなく英文事務にちょっと色を付けたようなものだと思われる。
職務経歴書まではさくっと準備できたが、英文レジメではたと手が止まってしまった。レジメというのは履歴書だ。英文履歴書を作成せよということなのだが、日本語の履歴書と違い、一定のフォームというものはない。ワープロでA4の紙につらつらと書く。目的、自分の持っている技術をアピールするためのもので、同時に「私を雇えばあなたはこんなに得ですよ」という面を強調することが大切である。おのずと職歴はそれをサポートするが、学歴などは別に〜、という感じである。
日本のそれとは違い、年齢、性別、既婚か未婚か、などは記載しない。
こういう性格のものを人材派遣会社むけに作成するというのはどうしたらいいのだろう。不特定多数の雇用主に向けて、「私を雇えばあなたはこんなに得ですよ」なんて書くのはムリだ。職歴を綴るにしても、ただ時系列にそって綴るだけになってしまう。本来は「ここで私は○○の実績を上げた。」などと、応募するポジションに沿ったように強調するものなのだ。雇用主を特定できていないのにどこを強調したらいいのか。
悩んだ末に私は、職歴はあくまで客観的な事実にとどめた。いわば英文で書いた職務経歴書といったものだ。英語文化圏からすると非常に消極的でやる気の見えないレジメになってしまった。どうもしっくりこない。せめてカバーレターという「自分で書く自己推薦状」みたいなものでも付けられるといいのだが。
ふとカナダで就職活動をしていたころを思い出した。就職といっても社会勉強のようなもので近所のYWCAで子供達の課外活動をサポートするスタッフを募集していたのに応募したことがあった。やることは、プールでの水遊び、本の読み聞かせ、簡単な工作、おやつの時間のお世話などごく簡単なことだが、少しでも現地の普通の生活を知りたいと思っていた私は面接でアピールしまくった。その場でマンガのキャラクターを描いて見せたり、必死だった。なんといっても英語があんまりうまくないのだから、他の応募者とは明らかなハンディなのだ。
相手の人がギャグのわかるタイプだったのか、私は初の外国人スタッフになることができた。ほんの2ヶ月だったけれども、私にとっては会話力が飛躍的に伸び、少しは普通の生活をかいま見ることができた濃密な時間だった。
そういうことをふと思い出してみると、レジメみたいな書類だけでは私という人間のことなど分からないと思う。佃煮のビンに貼ってあるラベルだけでは、それが美味しいかどうかわからないのと一緒だ。
不本意ながら明日はその英文レジメを携えて面接に行ってこようと思う。なげやりな気持ちではなく、雇用先の職種がはっきりした時点で再度英文レジメを作り直すか、カバーレターを添えさせて欲しいと申し出るつもりだ。
「はっきりと意志を明示すること」これも異国で学んだことの1つだ。
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