みかんのつぶつぶ
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これ可愛いねとほめてもらったブルーのワンピースを着て江ノ島へ、二人ではじめて行った夏は二十二年前。
毎日毎日暑くて暑くて。こんなに暑い夏は今までなかったと感じた夏が四年前。 花火の音が聞こえるよと、元気を出して欲しくて家のベランダで声をかけた夏は四年前。
こんな日は海に行きたいねえと、病室にいることを忘れて欲しくて声をかけた夏は三年前。 抗がん剤が終わったらウイスキーを飲みたいなと言った彼の、最後の夏だった三年前。
ただ、暑くて。カラッからに乾いた土が悲しい墓参りの夏が今年で。 焼けた墓石に刻まれた名前に、水をかけて。
水を、かけて。
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