みかんのつぶつぶ
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新聞に連載されていた記事は、がん患者への心のケアについてだった。手術はできない範囲に転移し告知されている女性を取材していた。
完治しないとわかっていながらも抗がん剤による治療、そして強い副作用。残りわずかな大切な時間を副作用で苦しむことに費やさず、平穏な日常を暮らすのもまた人生の選択ではないかと。 でも、少しでも効果があるならば、少しでもがんの進行を遅らせる手段となるならば、治療はやめないでいたいと願う気持ちも。
私には、もう全て終わってしまったことだという気持ちがあって。 終わってしまったと閉じ切ることのできない重い重い問題だと痛感したり。
患者は、専門的な知識で納得させてくれることも望んでいる。 難しい話しはわからないだろうと、医者が勝手にはしょらないで説明して欲しい。 患者にとっては、命に、人生に関わる重要なことなんだから。
そして、こちらが感じている以上に、まわりに気を遣い、人の態度や顔色にとても敏感になっていることもわかっていて欲しい。 少しでも拒否の色が見えたら、患者の口は貝になり、心は深い海の底になる。日の射さない、暗く重く音のない世界になるだろう。
そんなことを、ちょっと思った朝。
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