みかんのつぶつぶ
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2001年03月06日(火)

陽射しも風も、すっかり春らしい日だった。

病室で、一日穏やかな時を過ごしていた。
横たわっている時間が長くなった彼は、
天井をみつめて、何を思っているのだろう。

婦長さんに、子供達へ話すタイミングに迷っていることを打ち明けた。

「手術が終わってから、先生にご相談されたら如何ですか?その方が、手術の結果によって今後の治療法もお話しがあるでしょうから」

即答だった、さすがだ。
おっしゃる通りだと感心してしまった。
感謝しています、婦長さん。


昨日、彼の会社へ診断書を届けに行ってきた。
Eさんとの会話でのことを彼に話すと照れくさそうに笑っていた。

「いまでも思い出しますよ。危険物の免許が取れたと報告しにきた姿を。
ちょうどこの会議室にいた時で、嬉しそうな顔で入ってきたんですよ。
なかなか一発合格は難しいのに、頑張りましたよねー」

新たに任された仕事で、必要だった資格だ。
オープンに向けて連日泊まりこむ程多忙で、
その合間に勉強をしていた姿を覚えている。
やっと準備万端これからという時に、病に倒れたのだ。

ふっと彼に目をやると、涙が眼の端に落ちていた。
色んな想いがあるのだろう。
Eさんの言葉で、蘇えってきたのだろう。

私は、彼の涙に気づかないふりをして過ごした。
泣きたいときには、もっと泣いて欲しいと思うから。
寂しいときには、もっと甘えていいのにと願うから。



今度、聞いてみよう。
生まれ変わっても、
また私を、
奥さんにする?
って。


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