みかんのつぶつぶ
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2001年03月05日(月)

今朝は、カブのお味噌汁を作ってくれました。
洗濯は、しなくていいって言うと悲しそうな顔をします。
俺の仕事だからって、言い張るんです。
でも今朝は、
干している途中で横になってしまいました。
首の痛みが襲ってきたのです。

副婦長さんが、
そっと私を呼びに来た。

談話室に入ると、主治医のF先生が待っていた。

首の痛みは、腫瘍がありました。
はっきりと鮮明に、頚椎の後ろに浮き出ていました。

今日は、胸のMRI撮影だったそうです。
恐らく、結果は想像がつく状態であろうということです。

小脳にも鮮明な腫瘍が浮き出ていました。

彼の身に、何が起きてもおかしくありません。

癌細胞は、活発に彼の体を乱暴しています。

人工呼吸器をつけるような事態は、避けたいという意見は一致しました。
彼の意識は、どこまでも鮮明であろうから…

精神的苦痛は、回避したいのです。これ以上は。

この一ヶ月が、ヤマであろうと主治医は静かに宣告していました。

治療をしているという姿勢を、彼に示してゆくことを、誓い合いました。



ベッドに横たわる彼は、
あまりにも痛々しくて、
彼の側から離れることはできなかった。
だけど彼は、
子供達の晩御飯を気にして、
私に帰れと言う。

玄関で別れ際、

「一緒に帰ろうか」

「そうできるなら、そうしたいよ」

病院の中へ、
彼の後姿は吸いこまれていきました。

見送る私は、
涙を流す場所を求めて、
必死に街を抜けて、
たどり着いたのは、
子供達が待っている、
我が家でした。


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