【読書記録】長野まゆみ「鳩の栖」

ストーリー:転校先の学校で一番に話しかけてきたのは、クラスでも人当たりのいい少年・樺島だった。

偶然手に取った小説だったのですが、表題作の『鳩の栖』を読んでこれは好きかもしれない…と、それは突然現れた落とし穴にすとんと落ちたような気分でした。本当に不意だった…。そして、一冊の長編かと思いきや短編で、そのあたりにもどっきりしました。もっと鳩の栖で展開したらよかったのにな…!あの作品の、静かなのに生活観があって、そして上品だけど気取らない感じが好き。文章に感触がある感じがします。
表題作で一篇目とあって、鳩の栖はこの本の中でもとにかく強烈なインパクトを私に残したのですが、この本のすごいところはほかの短編も満遍なく面白かった、という点にあると思います。短編って、やはり好みなどが出てくるので、満遍なく全部好き!というのはなかなかないのですが、そこが長野作品らしいといえなくもないかもしれませんね。
連作で出てきた、紺シリーズとカスタネアについては、作中で生きている少年同士の絆?…信頼のようなものが、本当に胸を打つ作品でした。ちょっとずつベクトルは違うんだけど、僕がいて、彼がいる。それが彼らの中では当たり前に存在していて、だけどその当たり前が常にあって当たり前のものではないということもなんとなくわかっているからこそ生じる気持ちの変化が繊細で美しい。長野作品は繊細で華奢な少年がイメージであるのも手伝って、空気感が素敵だと思います。

鳩の栖/夏緑陰/栗樹―カスタネア/紺碧、紺一点
NO.06■p178/集英社/96/11
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NO.05■橋本紡「橋をめぐる いつかのきみへ、いうつかのぼくへ」p280/文芸春秋08/12
これもああほっとするな〜という内容だったのですが、時間がなくて感想が割愛されていました…。汗 もともと橋本さんの作品が好きなので、私は好きでした。ほのぼのしますよねvv
2009年05月30日(土)

ワタシイロ / 清崎
エンピツユニオン