**Secret**..miho
生きているということ
2005年12月14日(水)
 これは、私が高校2年生の時に参加した
 ボランティアについて書いた当時の文集です。
 まだ、自分が病気になる事を知らなかった頃…
 でも、今と変わらない価値観を抱いていた。
 まるで今の自分に言い聞かせているようだった。



『生きているということ…』

私がボランティア活動に参加したのは、これで二回目です。
進路の為に行ったのではなく、ただ「ボランティア」を
したかったので行きました。行こうという意志は積極的ですが、
今回も相変わらず、お年寄りの前で何をしていいのか
オロオロしていました。すると、あるおじいさんが、
「腰をかけなさい。」と言って下さったので、私は、
そのおじいさんと、お話をさせていただく事にしました。
そのおじいさんは、事故か何かで、下半身不随で車いすでした。
年は六十四歳で、私のおじいちゃんよりも少し若い位でした。

私が、「今、楽しい事は何ですか。」と尋ねると、
「そうだな。なにせ、この体だからな。やりたくても何もできん。
 行きたくても、どこへも行けん。もうこんな状態になったら、
 生きている意味なんて何もないさ。」と笑って答えられました。

私は、この時、どうして辛い事なのに笑って言えるのか不思議でした。
何一つ体に不自由のない私は、一生懸命、おじいさんの立場に
成り切ろうとするのですが、結局、何を言えば良いか分からず、
「そんな事ないですよ。」としか言えれませんでした。
そんな事よりも、「どうしてそんな事が言えるのですか。」と、
おじいさんを責めようとする自分の気持ちを抑えるのに精一杯でした。

おじいさんは、この施設にいる事を、あまり好んでいないように
思われました。楽しい行事中も、「はよ終わらんか。」と言われたり、
食事について、「おいしゅうねぇんよ。」と言われたりして、
ほとんど残して姿を消されたりしておられました。
私は、これらのおじいさんの行動に対して、私の願いとして、
これだけは、おじいさんに言っておきたかったです。

生き甲斐を持って。

そして、
二度と「生きている意味なんて何もない。」だなんて言わないで。

ああ、生きていて良かったなぁって思える事が、
きっとあるはずだから。

だって、おじいさんは、今、生きているんだよ。




m a i l



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