**Secret**..miho
Limited Life
2004年04月15日(木)
もう安定剤は飲まない事に決めた。
はっきり言って、効き目が全然ないんだもん。
おかしいと思ったんだ。あれほど主治医が嫌っていたお薬だもん。
これはきっと、おまじないのお薬だったんだ。
「これを飲めば、眠れますよー」って。。
どうせなら、まんまと引っ掛かっていた方が楽だったのに…

眠れないものは眠れないの。
お布団の中で何時間も孤独に眠れない時を過ごす…
時計の針は容赦なく進んで行き、私は一人暗闇の中に置いてけぼり。
誰かが傍に居てくれたなら…私はその温もりに吸い込まれて行って
安らかな眠りに付けるのに…でも、真夜中はいつも一人ぼっち。
主治医の「添い寝をしてあげようか…」という言葉を思い出す。

私は不眠症を逆用して、卒論研究に勤しむ事にした。
どうせ昼間はいつも不調だから、眠れない夜に頑張ればいいんだ。
入院中もそうだった。みんなが寝静まった頃に集中していた。
でも、それは病気を悪化させてしまう事になり兼ねない。
そもそも主治医が安定剤を処方したのも、睡眠不足による病状悪化を
防ぐためだった。でも、眠れないものは眠れないの。

昔から夜行性で、試験勉強も夜の方がはかどっていたけれど…
不眠症の場合は別だ。頭がぼぉ〜っとしていて怠いのに眠れない。
それを無理に堪えて、難しい参考文献を次々と読んでいく。
ちゃんと全ての内容が頭に入っているのかどうかも分からずに…
そして思ってしまうんだ。果たして今やっている事はムダなのか。
間違っている事なのか…それでも、今はやるしかないんだ。

病気になってから、ある意味で、みみっちくなってしまった。
何をするにも先の事を考えなくちゃいけなくて、失敗するごとに
これはしない方が良いと記憶させられていく。制限された生活。
今日外出したら、明日は家で休養しなくちゃいけない。
病状を悪化させる事なく、今ある体力を上手に使わなくちゃダメ。
そのためにも、ムダな骨折りはできるだけ避けるべきだ。

でも、今までの私の行為の半分以上はムダな事だらけだったと思う。
バカで要領の悪い私は、持ち前の努力だけで補うしかなかった。
自分にできる限りの事を一生懸命に頑張り続けてきたけれど…
そのうち、実際に実った努力は、ほんのひとかけらに過ぎない。
ほとんど空回りで、その代償はあまりにも大きすぎた…
私は今、限られた力量しかない。そんな私にできる事って何??

本当はムダかどうかなんて考えたくない!!
針の穴から物事を見ているような、窮屈な生活なんていらない。
どんな事にでも人並みに思いっきり頑張れる力が欲しい…
今までムダな事も多かったかもしれないけど、生き生きしていたよ。
私にとって「一生懸命に頑張れる事」が生きがいだったから…
それなのに今は…ムダな事を恐れている。その代償が怖くて…

かつて入院中に学校の先生から言われた言葉が今でも忘れられない。
悔しかった。歯がゆかった。自分が憎かった。自分を恨んだ。
一瞬にして、私の全ての努力が一掃されてしまった…
学校へ行けなかった。それでも一人の学生として勉学に専心した。
遅れたくなかったから…入院をしていても最善を尽くしたかった。
それなのに…

「学校へ来れないあなたは、ズル休みをしている学生と同然だ。」

一言そう言い放たれた。私は呆然と立ち尽くしていた。
所詮、報われるはずのない努力だったんだ。分かっていたけれど、
恐れていた。自分の行為が「ムダ」に終わってしまう事を…
そして、恐らく先生も長い間なかなか言えずにいたのだろう。
最初から見せ掛けの優しさなんていらなかったのに。。
心に深い傷を負った私は、それでも努力をやめようとはしなかった。

そして現在も頑張り続けている。
あの頃と同じ、静まり返った真っ暗闇の中で…
もうこれ以上に痛みや苦しみを感じる事はないだろう。
一体このうちどれくらいの努力が実るのかなんて問題ではない。
「一生懸命に頑張る」という事が、
私である事の証となってくれるから…




m a i l



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