**Secret**..miho
「壁になりたい…」
2003年04月29日(火)
入院中に、不可解な感情を抱いた事がある。

入院期間のちょうど折り返し地点&山場であった入院半年目…
病状は悪いまま足踏み状態で、良くなるかどうかも不明で先は見えず、
大学の休学&留年も確定し、まさに一番のどん底にいた時の事…
その頃から、入院生活にもいい加減に嫌気をさしてきて、
病院の個室で、ただ毎日毎日同じ事の繰り返し
--息をして生きているだけ--で、
なんの喜びも幸せも見出せない生活を送っていた中、
ふと思った事がある。

毎日ベッドから目にしていた風景は、真っ白な壁。
特に太陽の低い冬では、昼間になると、まぶしい日差しで
その真っ白な壁は輝き、その熱であったかくなる。
ただのセメントの冷たい壁だけれど…私は思ったのだ。
「壁になりたい…」

そして、ベッドから立ち上がり、両腕を真横へ広げて、全身と頬を壁に
ぴったりとくっつけてみた。
予想通り、ひんやりしていてつるつるしていた。
まさに壁だった…
この壁は、毎日病気の私をじっと見つめ続けてきたんだ。
他の誰よりも、私の事をすべて知り尽くしているんだ。
私は壁になりたいと思った…
その時、壁と一体になりたいと思った…
なぜか涙を流していた。

今、私が思うに、その時の私は、壁と一体になる事によって、
その真っ白さに吸い込まれるように消えてしまいたかったの
だろう…
とてもとても辛かったから…

壁・・壁・・壁・・・
今では、とても理解のできない感情である。




m a i l



My追加
* HP *  * mail *  * new *  * old *  >>   * menu *  <<