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びゅーちほー - 2002年04月08日(月)

病気というのは、意思の力や努力でなんともならないだけに美談にしやすい。
「困難に立ち向かいつつ、偉業をなしとげた」
いかにも、ハリウッド的な舞台装置だと思う。

しかし、いつも英雄になるのはわずらっている本人であることが多い。

不眠症の同居人に付き合って連日2時間睡眠でがんばっている人、
仕事を残しつつ、飯を作るために定時に帰る人、
夜中、仕事場に現れ、仕事の続きをする人、
いまさら、と思いつつ家人を安心させるために抱きしめる人
頭を下げながら定刻過ぎてから保育園の門をくぐるひと
電話口の向こうの泣き声を聞きながら、必死でキーボードをたたく人
不安定な勤怠で給料を削られ、あちこちに頭を下げ金を借りる人

そんな、どこにもぶつけることのできない悲しみや苦しみは、
ほんの2時間以上の映画の中で5秒ほどのシーンにしかならない。
そんな登場人物は、彼を支えたよき伴侶という、添え物としての評価しか与えられない運命を持っている。

その人の人生を、主人公にささげることは、本人の意思であるかもしれない。しかし、逆に選択の余地もない運命としか呼びようのないものを、「意思」という言葉でカムフラージュしてる側面もあると思う。

病気ものの映画をみると、どうしても看病側に感情移入してしまう。


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