Sun Set Days
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2003年09月29日(月) 『Sweet November』+買い物

『Sweet November』を見た。先日、部屋から結構歩いたところにあるレンタルビデオショップの会員になったのだけれど、そこで入会と同時に借りたうちの1本。
 パッケージの写真(木漏れ日のなかのベンチで、キアヌ・リーブスとシャーリーズ・セロンが向かい合っている)が印象的でジャケット買いのような感じで手に取ってみた。そして、借りてよかったと思った。個人的にはストライクゾーンで、かなりよかった。
 もちろん、強引なところや説明不足のところもたくさんあるし、「そりゃあないだろう」と思うところも結構あったのだけれど、それでも根底に流れるトーンがかなり好みの映画だったのだ。


 物語はごくごく簡単に言うと、自己中心的で成功することだけしか考えていない広告マンのネルソンが、ふとした偶然から自由奔放に生きるサラという女性と出会う。サラは自分には不幸な男性を救う特殊能力があるのと言い、ネルソンに彼女の『11月』の恋人になることを提案する。
 そして、サラと一緒に過ごす時間が増えて行くにつれて、ネルソンは少しずつ変わっていくことになるのだが、サラにはある秘密があった……というもの。


 ふたを開けてみると王道のシチュエーションなのだけれど、細部のエピソードがかなり効いている。たとえば、部屋の中で目隠しをして追いかけっこをするところや、初冬の海辺を散歩したり、犬とじゃれ合ったりするところ、あるいは12個のプレゼントのエピソードや、カレンダーのエピソード。結局線が点の積み重ねであるように、ストーリーもエピソードの集積であるわけだけれど、そういう意味で言うとたくさんのエピソードは、その線が向かうラストにしっかりと向かっていた。

 そして何より、主役の2人が魅力的だった。最初の感情を押し殺したような「いやな奴」から、優しげなまなざしを見せる「魅力的な奴」にまで変わっていくネルソンを演じるキアヌ・リーブスと、奔放でとらえどころがなく、はっきりとした喜怒哀楽とある種の真摯さを併せ持つサラを演じるシャーリーズ・セロン。その2人がこのおとぎ話のような物語に「ほんとうのこと」である感じを与えていた。

 突拍子もないというか、無理のある設定であっても、見ている間はそういうことを忘れさせることのできる作品がよい作品なのだと思う。あとで冷静になって考えてみたときに強引なストーリーだと思ったり、無理のある展開と思うことは誰だってできる。ただ、それを見ている間は気にならないと思わせる力、物語に集中させ入り込ませておくことのできる力がポイントで、個人的にはこの作品にはそれがあった。
 そしてそういう物語には、あとで思い返すときに核のようなある種のイメージとか、トーンのようなものがちゃんと残っているのだ。カラーというか、トーンというか、周波数というか、そういうものが。
 それがとても大事なことなのだと思う。

 もう少し長く、2人のエピソードを重ねて、より2人の周囲の世界の映像を重ねていたら、もっと忘れられない作品になっていたような気がする。
 それでも、全然期待もしていなくてなんとなく見て、やられたと思った。
 この映画がヒットしたのかどうかはわからないし、たぶんあんまりヒットはしなかったような気がするのだけれど、それでも思いがけない収穫という感じがすごくして、なんだか嬉しくなってしまう。

 あと、サラ役のシャーリーズ・セロンを絶対他の映画で見たことあると思ってずっと思い出せなくて、見終わった後調べてみたら、『サイダー・ハウス・ルール』のキャンディ役だった。演技うまいし、魅力的。


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 今日は休日だったので、横浜に出掛けてきた。無印良品のノートが欲しかったのだ。普通の無印良品のノートならファミリーマートにも置いてあるのでそれでいいのだけれど、気に入ってよく使っているのがダブルリングの無地のノート(80枚)だったので、それは無印の店にいかないと置いてないのだ。
 文房具を見たりするのが好きなので無印に行くといつもいろいろと見てしまうのだけれど、今日も結構ぐるぐると見て回った。背もたれの高い椅子のようなメモホルダーがあって、一瞬手に取りかけたのだけれど我慢する。また、大きい定規も欲しかったのでそれも購入し、他にもクリアファイルなどを買う。結局、なんだかんだでボールペンなんかも含めると結構買ってしまった……

 今日は横浜そごうの7階にある無印良品に行ってきたのだけれど、壁に歴代の無印良品のコピー「わけあって安い」とか「地球大」とかが書かれていて、それらのコピーの数が無印良品の歴史を表しているような気がしてなんとなく感慨深くなる。
 無印良品を展開する良品計画は、もともと、西武グループの1部門として発足したのが、独立し、いまでは国内の小売業の中でも独特な存在として自らの位置を確立している。ずっと増収増益基調で成長してきたのが、数年前のユニクロなどが伸びてきた時期に衣料品の値下げロスや品目の拡大、主要顧客層の高年齢化などによって打撃を受け、それでも最近はまた少しずつ持ち直している。

 衣食住に渡って独自のプライベート・ブランドでライフスタイル全般を提案するという手法はなかなか他の企業には追いつけないところで、無印の大きな武器となっていると思うのだけれど、店舗の拡大と消費者の飽きの部分のバランスはやっぱり難しいのだろうなと思う。スタンダードなデザインの物が多いから、そう極端に廃れたり流行ったりというふうにはならないだろうけれど、それでも店を増やすとどこにでも同じ物があるというイメージを与えがちで、それが急速に飽きに繋がるというのはなんだかまいってしまうけれど、事実ではあるわけだし。
 その分、企業は新製品を出さなければならないし、革新を続けなければならないわけだけれど、無印良品の品ぞろえは、従来のイメージをうまく活かしながら少しずつ確実に領域を広げているように見える。
 なんだかんだいって、個人的には結構好きな店のひとつ。昔、自転車も買ったし。

 話はかわって、西武とそごうがミレニアムグループで統合して、そごう再建のために強力なテナントである無印良品やLOFTに入居して、今後は仕入れ等もより密接に協力していく〜というような内容がかつての流通新聞とか業界誌に書いていたのだけれど、そういうニュースになった場所を実際に客として訪れることが出来るのは面白いと思う。また、他にもウォルマート流の考えを導入した西友が最近少しずつオープンしたり改装によって現れたりしているのだけれど、それが実現されている店舗に行けば、自分の目でウォルマート流というものがどういうものなのかを見て取ることが出来るのだ。
 たとえば、雑誌の記事で進歩的な仕組みを導入している工場があるというのを読んでも、その工場に視察にいくことは現実的にはちょっと難しいかもしれない。けれども、店なら物販であろうが飲食であろうが、実際に客としてそれが本当なのかどうかを体験することができるのだ。そういうのって当たり前のことなのだけれど、楽しいと思う。自分が流通業にいて店を見たりするのが好きだからというところもあるけれど、たくさんの店を見て、いいところを参考に出来たらと思う。

 帰りに、そごうの地下にあるアンリ・シャルパンティエでケーキとフィナンシェを買って帰る。様々な百貨店の地下で見かける店だけれど、やっぱりおいしい。フィナンシェはちょうど17時に焼きたてのものがあったので、せっかくなのでそれをもらう。出来たてというのはやっぱり魅力的で牽引力があるのか、他の店舗でもアップルパイが焼きたてとか、いろいろなものが出来たてということをアピールしていた。


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 お知らせ

『Sweet November』は結構お約束なのですが、でも思いがけない当たり! でした。


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