Sun Set Days
DiaryINDEX|past|will
2003年02月07日(金) |
『猟奇的な彼女』(2回目!)+『バナタイム』+「メトロポリタン美術館展」+『トランスポーター』+『ザ・プロフィット』 |
なんだか長いタイトル……
今日は休日で、昨晩Daysを書き上げた後と朝6時に起きてからで週報を作成し、それを職場に提出しに行くところからスタートした。毎週、自分の担当する部門について週の報告書を作成しなくてはならないのだ。作成には毎週ある程度時間がかかっているのだけれど、もう2ヶ月ほど経つので大分慣れてきたとは言える。もちろん、報告書を書くことが重要なのではなくて、そこから問題点を発見して現場を改善して行くことが重要なのだけれど、いずれにしても、基本的な部分を確実に繰り返して行くことが重要だとも思っている。当たり前のことを当たり前にすることが、難しいことなのだというのはきっと誰もが思っていることでもあるのだろうし。
それから、JRに乗って再度新橋を目指す。今日も『猟奇的な彼女』を観に行こうと決めていたのだ。昨日の内にネットで確認すると、初回は11時で、それで間に合うように6時に起きて週報の残りをやったのだ。ということで、睡眠時間は4時間半だったのだけれど、朝の熟睡を選んでいたら今度の休日まで軽く後悔しそうだったので、そのまま活動を開始した。そういうときには眠気はどこかに消えてしまっているのだから身体はゲンキンなものだ。
電車の中では、よしもとばななのエッセイ『バナタイム』を読み終える。マガジンハウス。薄く短く、あっという間に読み終えてしまう。帯にはこう書かれている。
じわっと押しよせる幸福感が 人生をかけがえのないものに変える…。 人生最大のターニングポイントを迎えた著者の 深い考察とさりげなくも力強いメッセージが満載。 心にしみる新生ばななのエッセイ集。
人生最大のターニングポイントというのは、それまでの恋人との別れとそれから間をおかずしての違う相手との結婚のことを指している。そのことは中に書かれているので一部だけを変に引用しないようにするけれど(上の説明ですらもう誤解を与えそうだし)、心情的にこの間読んだ『ハゴロモ』のトーンに一部かぶるような感じがあって、小説とエッセイとが点線かか細い線で繋がっているような気がした。 人生を柔軟に、かつ忠実に生きているのだなあとあらためて実感する。
また、電車に乗っているとき、横浜の近くに「関内」という駅があるのだけれど(横浜スタジアムの最寄り駅)、車内アナウンスで「次は関内〜」とあったときに、思わず本から手を止めてしまった。
つぎはかんない が つぎわかんない と聞こえたのだ。
それはちょっと、いや結構ふしぎだと思えてしまった。電車に乗っていて、つぎわかんないと放送されるのって……けれども、それはそれでおもしろいかもと思って、ノートにメモしておいた。 ノートにはそういうちょっとしたことがたくさん書かれていて、後で読み返してみても何のことかわからないことが多い。だからこそDaysにすぐ転記するのだけれど。だって、ノートに「つぎわかんない」とだけ書いてあったら、それこそ自分がわからないし。
新橋に着いたのは10時ちょっと過ぎ。火曜日と同じ道を歩き、日比谷シャンテシネへ。 なんと金曜日初回は1300円で、知らなかったのでかなり得をした気持ちになる。 建物の壁には前回は気がつかなかった「ぴあ」の切り抜きが貼られていて、観客の観終わった後の満足度のランキングの最新版で、『猟奇的な彼女』が1位だったというもの。「そうだろうね!」と心の中で思いちょっとだけ嬉しくなる。たくさんの人が好きになれる映画だと素直に思うし。
初回だというのに、かなりの客席が埋まっていた。そして、(自分にとっては)2回目の『猟奇的な彼女』スタート。
やっぱり面白かった!
同じところで笑えたし、同じところでせつなくなった(もちろん違うところでも)。2回目なのでより細部まで注意して見ることができたし、2人のエピソードの軌跡がよりスムーズに入ってきた。いくつかのシーンでの気がつけなかった点に気がつくこともできたし。主演の2人のことが、かなりかなり好きになってしまった。 もちろん、2回目を観るのってちょっと不安なところもあったのだけれど(感動が薄まってしまうのではないかとか)、全然そんなことはなくて、むしろもっとずっとお気に入りになってしまった。心のベスト10には間違いなく入ると思ってみたり。同じ映画を映画館で観返したのは久しぶりのことだ。本当に。もう一度観たいとすら思うし。笑いたいし、せつなくなりたいし。
そして、銀座線で新橋から渋谷に移動。Bunkamuraで、「メトロポリタン美術館展」を見るためだ。久しぶりの渋谷は相変わらずのすごい人。ハチ公前のスクランブル交差点には数え切れないほどの人たちがいて、三つの大型画面がそれぞれの映像を映し出している。ちょうど宇多田ヒカルの「Colors」のクリップが流れていた(いい曲)。
「メトロポリタン美術館展」は3月までやっているので後1ヶ月ほどあるけれど、こういうのも行けるときに行っておかないと結局タイミングを逃してしまいがちなので、昨日から行くと決めていたのだ。
ピカソの「白い服の女」を見ることができたのは個人的にはとても嬉しくて、江國さんファンとしては、バルテュスの絵を実際に見ることができたこともよかった。「目を覚ましたテレーズ」は、目を覚ましたというのはダブルミーニングなのかなあと思いつつ。ポストカードも数枚買う。ミーハーだなあと思いつつ。
その後、渋谷のタワーレコードで『猟奇的な彼女』のサウンドトラックを購入。印象的なシーンでかかるバラード「I Be lieve」ももちろん収録。
それから渋谷駅から東急東横線で桜木町へ。途中、人身事故の影響で電車が止まり、車内が少し騒然となった。何人かが携帯電話でアポイントメントやアルバイトの時間に遅れる旨を伝えていて、電車はしばらくの間動かないままでいた。
桜木町では、ワールドポーターズに行き、いくつかの店をのぞく。そして、17時から『トランスポーター』を観る。これは当初予定していなかったのだけれど、ちょうどよい時間ではじまるということもあってそのまま観てしまうことにしたのだ。スカッとするにはよい映画。おいおいなんでもありだよというアクションの連続だし。リュック・ベッソンプロデュース作品を僕は基本的には割り切って考えているのだけれど(大スクリーンで観るにはいいかなというように。以前も書いたけれど『レオン』と『ニキータ』以外のベッソン作品はあまり好きじゃないのだ)、今作は主役のフランク役のジェイスン・ステイサムが渋く格好よく、見応えがあった。もちろん、やや唐突に進むストーリー展開と、肉弾戦のバトルのときには敵も銃を使わないで肉弾戦でちゃんとやってきてくれるというのはどうなのだろう? とは思ったのだけれど。ただ、アクション映画が好きな人には、見応えは充分あり。
また、予告で『猟奇的な彼女』をやっていて、予告編ははじめてみたのだけれど、そのことにも嬉しくなってしまった。
帰りは、ワールドポーターズの中にあるタリーズコーヒーでハニーミルクラテのショートサイズを持ち帰りで購入し、桜木町駅までの10分弱くらいを飲みながら歩く。19時前後だったのだけれど思いがけず寒くなくて、それでも一応マフラーはしながら、のんびりとてくてくと歩いていた。今日1日で結構な距離を歩いたのだけれど、やっぱり気楽な気持ちで歩くのは随分と愉しいことだ。 桜木町では観覧車は動いていなくて、中央にあるデジタルの時計だけが見えていた。ランドマークタワーはまだまだたくさんの明かりがついていて、金曜日の夜のせいか、結構たくさんの人たちが歩いていた。駅前のだだっ広い空間では、ストリートミュージシャンが機材の準備をしていた。
帰りはJRかバスかでちょっとだけ迷ってから、結局バスにする。桜木町からバスで帰ってきたことがなかったからだ。バスの後ろから2つ目の窓側の席に座り、のんびりと読みかけの本の続きを読む。
で、部屋に帰ってきてからさらに100ページほど読んで、『ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか』を読了。ダイヤモンド社。エイドリアン・スライウォツキー著、中川治子訳。
帯にはこう書かれている。
あなたは「利益」発生の秘密を知らない! なぜ、思ったように儲けが得られないのか? ―――本書で繰り広げられる「利益の物語」について深く考えてみて下さい。必ずや答えが見えてきます。
本書は、読者の一人一人が「利益」についてわかりやすく理解でき、自分なりに考え始めるきっかけとなるように、物語仕立てで書かれている。と書くとあのベストセラー『ザ・ゴール』シリーズを思い浮かべてしまうけれど(出版社も、装丁のデザインも似通っているし)、けれども読み応えは結構ある。物語は、あるやや傾きかけた大企業につとめるビジネスマンであるスティーブ・ガードナーが、「ビジネスで利益が生まれる仕組みを知り尽くした男」デビッド・チャオの生徒として、毎週受ける個人レッスンの内容が書かれているものだ。チャプター毎にひとつの「利益モデル」を説明しており、チャオの台詞を通じてその「利益モデル」をより理解しやすくなる参考書籍が紹介され、またスティーブの質問やチャオに促されて答える講義のまとめによって、その特徴が鮮明になっている。師と弟子の会話といった体裁のため、物語性ということで考えると『ザ・ゴール』にやっぱり一日の長があるけれど、それでも物語仕立てのため随分と読みやすく退屈ではない。
ここに書かれている「利益モデル」は全23種類。「顧客ソリューション利益モデル」「製品ピラミッド利益モデル」「マルチコンポーネント利益モデル」などなどだけれど、言葉は妙にうがったと言うかいかにもな感じのものが並んでいるけれど、読んでみるとそんなに難しいものではない(もちろん、表面をなぞるのと、それらのモデルについてしっかりと考えるのとでは話は違ってくるけれど)。また、読みやすく、また参考図書にもぜひ読んでみたいなと思えるようなものが結構あって、興味深いと言えば言えた。
いずれにしても、「顧客」と「利益」のことをちゃんとそれぞれの現場でも考えて行くことが重要なのだということはあらためて思う。当たり前のことを当たり前にすることは難しい。
帰りのバスの中で、運転手さんが「お客様の中に5000円札が細かくなる人はいらっしゃいますか?」という放送をしていた。そういう放送ってはじめて聞いた。
また、バスを降りた帰り道で、石焼イモを売っているおじいさんがリヤカーを押していて、1本衝動買いをしてしまった。300円。部屋に帰ってきて、半分に折って食べる。石焼イモを買うのなんてものすごく久しぶり。おいしかった。
というように、駆け足になってしまったけれど、朝早く起きて仕事をして、本を2冊読み、映画を2本映画館で観て、美術展にも行ったので、充実した休日だったと思う。
―――――――――
お知らせ
『猟奇的な彼女』は面白いですよ!(しつこいけどさ)
|