Sun Set Days
DiaryINDEX|past|will
マクドナルドが先日チーズバーガーとフランクバーガーの値上げを発表し、新聞などでは戦略が迷走しているだとか、腰が定まらないなどと書かれている。確かに、狂牛病の影響を受けて以来、値段を下げてみたり、上げてみたり、マックチョイスをはじめてみたりと、様々なことを手探り状態のまま続けているように思える。 たとえば、今回(2月10日から)の値上げではハンバーガーは59円のまま据え置きなのだけれど、チーズバーガーが79円から120円になるため、極端な書き方をするとチーズが61円もするのかという奇妙な価格設定になってしまっている。また、前回の値下げが期間限定などと特に銘打っているわけでもなかったため、なおさら割高感、迷走感が強くなってしまっている。売上げが不振なんだねというイメージをもたれやすいというか。
もちろん、何かの値段を高くしている一方、値下げもいつものように行っているのだけれど、今回はダブルチーズバーガーが220円から179円に下がっているのと、マックチョイスにハンバーガーとチーズバーガーが追加されたことがそれにあたるだけなので、それほど新味がないと言うか、苦し紛れという感触は否めない。 新聞記事を読むと、フランクバーガーで見ると、この半年だけで4回も価格が変わったと書かれていた。既存店の前年実績も16ヶ月連続下回っている。もちろん、ユニクロとある程度同じようにデフレ価格がまだ全盛でありブームだったということが前年割れの影響のひとつだとは思うけれど、それにしても随分と逆風が吹いている。
僕は個人的にマクドナルドがとても好きで、いまでもよく食べているけれど、たとえば近くにあるマクドナルドでは、マックチョイスのサラダが午後3時には品切れになっていたりする。野菜だけに鮮度が重要で過剰に発注することができないことが理由なのかもしれないけれど、選択肢に入っていて、けれども品切れをしていて選べないというのは、やっぱり残念と言えば残念だ。そういうちょっとしたことの積み重ねもやっぱり大きいような気がする。
また、スコーンやら新店でのカフェ風の内装やら、様々な実験を行っているけれど、大衆がマクドナルドに抱いているイメージは、安くて手軽というところだろう。だとしたらたとえばスターバックスのようなイメージを持ってもらうことは難しいような気がする。世間的にスペシャルティコーヒーチェーンが流行っているからといって、マクドナルドがそれをやることに大きなメリットはないように思えてしまうのだ。
それよりはむしろ、自らのやるべきことに集中し、低価格で気軽なファストフードを、よりローコストで提供し、その中で可能な限り味を高めていくというともすれば愚直な方向性のほうが本道であるような気がするのだけれど。
奇策はたいていの場合うまくいかないし、いままで築いてきたある種の信頼感だってきっと根強い。一度もマクドナルドを食べたことがない人はきっと少ないだろうし、高級レストランに行く人もあるときにはマクドナルドを食べるというのが現代人の生活パターンなのだから、そのパターンのあれもこれも狙うのではなくて、ねらった範囲を確実に奪取するというやり方でいいと思うのだけれど。
そして、流行っていたスペシャルティコーヒーのチェーン店でも、6割以上のシェアを持つスターバックスも前年割れを続けている。今週発売の『日経ビジネス』では、「ブームに負けない経営」ということで「スタバ・ユニクロの轍を踏むな」という特集が組まれていたけれど、その中にはそのスターバックスコーヒージャパンCEOのインタビューなどもあって、ブームの後の今後の方向性をどう捉えているのかが書かれていて面白かった。
いずれにしても、企業ごとに特色があり風土がありカラーがあるわけだから、デフレ業態が飽きられて少し高い店、あるいは価値の高い店に顧客がシフトしつつあるという傾向だけで誰もが一様にそちらを向く必要はないし、そのような状況にのみ引きずられていたら、様々な対策は後手に回り、結局は競争の中で消えていってしまうのではないだろうか?
それよりは、もう一度企業の核となるビジョンなりベクトルを確認し、それを実現するためには何をどのようにしていくことがいいのかということを逆算して考えていくことだけが必要な気がするのだけれど。
もちろん、そういうのってとても難しいのだろうけど。
―――――――――
お知らせ
最近、MEGMILKを飲んでいます。パッケージの赤と白は好きな感じです。
|