Sun Set Days
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2002年11月01日(金) |
導入OK+『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』 |
今日は嬉しいニュースがひとつ。 仕事の新しいシーズンに向けて、メンバーが本来の核業務に集中することができる環境を整えるために、新しいシステムを導入する計画を立てていた。いくつかの同様のサービス(もちろん、それぞれ特徴と利点と欠点は異なる)を手がける企業の説明と商談を受け、確認をし、コストについて調整を依頼しながら、導入に向けて活動してきた。システムと言っても一千万円以上はするので、簡単に導入OKですよとはならないし、準備等もいる。 それで、ここ1ヶ月ほど若干間は開きながらも、来期計画の柱として、その選定業務とそのシステム自体の導入のGOサインをもらえるように準備を進めていた。各社の見積もりが出揃い、仕様を確認し、やたらと忙しいマネジャーに変わって社長に決裁を仰ぐための資料を作成する。会社の方針として提案用の資料はシンプルであることが求められているため、別途で大量の資料は用意しておくにしても、メインの資料は稟議書と別に数枚(3枚)にまとめる。
そして、今日マネジャーが社長に提案し、その導入のOKをもらうことができたのだ。 正直、嬉しかった。ありがたいことに増え続けている応募者に対応し、成果を挙げるためには、現状のやり方では限界に来ている部分があることは事実で、それをシステムとそれに関連する仕組みの導入によって緩和し、メンバーが本来の核業務に集中することのできる環境を作る。そのための基幹となる提案だったので、OKが出るかどうかというのは重要なポイントだったのだ。
業者に関しても、細部を詰めていく中で「ここ」と定めていたところに決定した。もちろん、そこが選ばれるように資料を作成したので、それに関しても狙い通りで安心する。コストをかけて導入するからには、最も成果を高く得られそうなところと一緒に、というのはもちろん基本的なことであるし。 おそらく長い付き合いになることでもあるのだろうし。
導入の了承をもらうために、様々な検討を繰り返してきたことでもあったので、正直な話嬉しかった。 今後は、より現実的な実際のフローを作成したりと稼動に向けての打ち合わせに入っていくので、その準備にまた入り込んでいこう。段取り7割とは以前の上司の言葉。本当にそうだと思う。 実は自分はもう少ししたらこの部署を離れると思っているのだけれど、事前にフローをしっかりと構築しておくことで、立つ鳥後を濁さずということになればいいなとは本当に思う。目指すべき方向とねらいとが明確に意識されてさえいれば、あとは現場でのタイムリーな修正で結構目測通りに事態が進行していく。今期の活動の中で、そういったことはある程度意識することができたし、そういうベクトルのようなものを、ノウハウを遺していければいいかなとも思う。
こちらがようやくめどがついたので、次は来期の予算作成に入ろう。それに関しても、スムーズに来期の部署の活動ができるようなものを。
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『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』読了。再読。キングスレイ・ウォード著。城山三郎訳。
これは、カナダの実業家である著者が、息子が高校生の頃から大学時代を経て自らの会社に入社し、やがて社長にのぼりつめるまでの約20年間に渡って、様々な局面で書いてきた手紙を集めた本。そこでは、「教育の設計」、「実社会での最初の日々」、「結婚を気軽に考えないで」、「読書の価値」、「批判は効果的に」、「ストレスと健康」、そして「優れた指導者の条件」などなど、ビジネス社会で生きる人にとって不可欠な事柄が(プライベートな面に関しても)集められ、それらについて言及されている。その筆致は人生の先輩としての父親の暖かなものであり、その中に期待と愛情が充分に混じっている。
手紙は自らの経験に触れ、様々な識者たちの言葉を引用し、常識に満ちた節度ある(そしてときににやりとさせられる)ものだ。それぞれの手紙の最後の差出人名のところもウィットに富んでいて、思わずなるほど、と思ってしまう(たとえば、「事業を拡大する上で重要なこと」というテーマの手紙では、慎重に検討を繰り返すことの重要さを述べた後で、最後に「臆病者」よりと書いてある。「講演は自信を持って」というテーマの手紙では、はじめての講演に自信を持てないでいる息子に向かって、上手な講演を行うコツを伝授した後、「君に拍手を送る聴衆のひとりより」とまとめている)。
相変わらず面白かった。この本は以前に読んで、今回が再読だったのだけれど、現実の人生についての示唆にとんだ様々なアドバイスに満ちた手紙に、以前と同じように納得させられた。ウォード氏は誠実さや節度や常識を重んじている。手紙の端々から、そういう気質のようなものが強く感じられる。そして、それは現代のある部分ではもしかしたら失われつつあることなのかもしれず、だからこそ新鮮に響く。
折ったページは多数。いくつかを抜粋して引用。
私の見るところ、おそらく常識が実業界の戦いに携えていく最良の武器だろう。困ったことに、多くの人は戦っているうちに常識を忘れてしまうらしい。常識の兄弟分である責任についてもしばしば同じことがいえるが、これらこそ成功の基礎である。(16ページ)
互いに自分に言い聞かせようではないか、「熟練した小鳥だけが歌うとしたら、森は静まり返るだろう」と。(86ページ)
世評では、ハリー・トルーマンはアメリカの副大統領であった当時、大統領の地位には不適格であるとみなされていた。しかし彼は(……)非常に強力な大統領になった。彼の成功に関する私の持論によれば、その主たる原因は、彼が十四歳で、ミズーリ州インデペンデンス市の、小さな地域図書館の本を一冊残らず読破した事実である。(177ページ)
性格が良く、しっかりした倫理観を持ち、廉恥心とユーモアがあり、勇気と確信を持つ人は、捜し求め、親しみ、大切にすべき友人である。そういう人は少ない。「片手の指に余る親友がいれば、恵まれていると思え」とよく言われる。私はさらに付け加えたい。「たとえその手の指を二本、電動鋸で失っていても」。(220ページ)
サミュエル・ジョンソンも注意しているように、「批判の風が吹くたびに振り回されてはいけない。最後には自信のかけらも残らなくなる。そして、ヘンリー・メイジャー・トムリンスンも言うように、あらゆる批判を注意深く評価しなければならない。「お粗末な、いい加減な批判は……都市の手入れの行き届かない下水施設と同程度に重大な問題である」。 妥当で、善意からだと思われる批判は受け入れるように。悪意のこもった、あるいは不当な批判は、撥ねつけるように。見当違いの批判をする相手を黙って赦すべきではない。 君は一生、批判と向き合わなければならないだろう。だから今、若いうちに、対処の仕方を覚えておくといい。(231ページ)
ちなみに、姉妹編として『ビジネスマンの父より娘への25通の手紙』もあります。
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お知らせ
後輩と一緒に回転寿司に行ってきました。回転寿司を考えた人って、すごいなとときどき思います。
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