先日ダンナが学生時代お世話になっていた方が亡くなった。 葬儀は身内でひっそりと済ませたらしく偲ぶ会がいとなまれた。
亡くなった方は当時のバイト先の経営者だったため、 偲ぶ会にはバイト仲間が集うことになる。
私は不安でしょうがなかった。
「ねぇ、くるんでしょう? 心配だなぁ」
その短い言葉で彼はちゃんと察知した。
「こないと思うよ。来たとしても、もう俺達夫婦なんだから」
私の前に8年付き合ってた彼女。 彼らがまたどうこうなるかもなんて不安はあまりない。 彼が私に寄せるのとは違う種類の愛しい感情を抱くのが嫌なのだ。
結局、彼女はその会には参列しなかったようで、
「こなかったよ。話によると結婚したみたい」
という彼の短い報告でコトは終わった。
「よかったね」
うなずく彼。 ヨカッタネの中身が分かって同意したのだろうか。
少しは「彼女が幸せになっていて」という意味もあるのだけれど、 大部分はこれで彼の罪悪感も薄れたであろうということについてと、 それによって私たちの足場が固まったということについてのヨカッタネ……だ。
きっと彼は知らない。 いまだ私がこんなにも彼女の存在に怯えているということを。
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