解放区

2012年02月02日(木) インフルエンザについて

今朝も氷点下だった。寒すぎて布団から出る気がしないが、父の朝食の準備をしなければならないので何とか気合を入れて布団から出る。

父がデイケアに出かけたら、自分の支度をして職場へ向かう。いつもはまっすぐに職場へ向かうのだが、今日はあまりの寒さに途中でなか卯に寄りうどんを食べた。グローブをはめているとはいえ、バイクで冷気に晒された両手は感覚を失いかけており、箸を持つのも怪しかったのでしばらく熱い丼で両掌を温めうどんを食べた。

今日もインフルエンザ祭だった。次々と発熱の患者がやってきては、診察を行いインフルエンザ検査用の綿棒を鼻の穴に突っ込んだ。インフルエンザかどうかは話をちゃんと聞くだけで大体わかるのだが、それでは納得しない人が多いので検査をするしかない。毎日インフルエンザの人をたくさん見ているとインフルエンザかどうかはわかるもので、今日もほとんど外れなし。検査というものは自分の予想が合っていることを確認するためにするものである。最近はあまり予想が外れなくなってきたが、それでもたまに予想外の結果に驚くこともある。

それにしても、検査しすぎでしょうと思う。てめえも若いころは、自分が必要だと思う検査しかしなかったが、当然患者受けは悪かった。結果はほとんど同じなのにである。もう面倒くさくなったのと丸くなったので最近は顔色を見ながら検査している。ほんまに声を大にして言いたいが、今の日本の制度では外来では検査はすればするだけ儲かるので、検査をせずに診断するのは儲からないしリスクを抱えるだけでしかない。何とかならんものだろうかねえ。

あと、インフルエンザの薬に期待が大きすぎる。これも説明するのが面倒臭くなったのでそれなりに薬を出している。抗インフルエンザ薬の全世界の消費量の7割は日本である。このことはもう少し考えた方がいいのではないだろうか。

先週の外来に中学生の発熱の子が来院した。話を聞けば典型的なインフルエンザの症状で、しかもクラスが学級閉鎖になっているという。もう検査しなくてもインフルエンザの診断でよいと思うのだが、それでは親が納得しない。検査したところ、予想通りインフルエンザ陽性であった。

症状としては発熱だけで、食欲もあるとのことで、正直病院など来ずに家で寝ていた方がよいレベルだ。治療に関しては解熱剤だけで帰すことも多いのだが、インフルエンザへの香かもよく副作用もさほどないので最近は若い人には麻黄湯を処方することにしている。タミフルは異常行動が多発したので10代では禁忌となっており、リレンザも要注意となっている。10代の子に出せるのは漢方薬ぐらいしかない。

というわけで、上記説明して麻黄湯と解熱剤を処方して帰そうとした。「リレンザは出せませんか?」と母親が聞いてきたので、いつものように「要注意薬ですし、効果も解熱を早めるだけで合併症は防ぎません。解熱を早めるのは麻黄湯の方が早いという報告もあり、副作用のリスクも考えると全くお勧めできないし、自分や自分の家族なら絶対に処方しないレベルです」と説明した。今もこの考えに全くブレはない。上記でも述べたが日本で全世界の7割が処方されているというのは異常である。日本以外の国はこれらの薬を使用せずにインフルエンザを治療しており、それで全く問題は生じていない。

納得していただいたと思っていたのだが、これだけ説明したにもかかわらず納得していただいていなかったようで、その後別の小児科にかかってリレンザをゲットされたらしい。なんだかとても複雑な気分である。もしそれで何か起こっていたらどうするつもりだったのでしょうか。インターネットもあるこの情報社会で、てめえが言っていることがまっとうであることは調べればすぐにわかることなのに。子供がかわいそうである。

ホンマは節分の話を書く予定だったがインフルエンザの話で盛り上がってしまった。なんてこった。なので続きは明日へ。


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