夕方に台所で食事を作っていると、ぴんぽんとチャイムが鳴った。てめえは日用品をネットで買い物することが多いので、てっきりどこぞの運送会社の配達の人かと思い出てみると、元居候氏がにっこり笑って立っていたので驚いた。
彼は学生の時から、予告もなくてめえの住むところに現れては好きなだけ滞在し、好きなだけ京都観光をして帰っていく。今は大阪在住だが元々は京都出身であり、なぜそれだけ飽きずに地元観光をできるのかと不思議だったが、いったん外に出て帰ってきてから、その気持ちがわかるようになった。まあ、それはまた別の話。
さすがに南の島に移住した後はさすがにそこまでやってこなかったが、京都に再び帰ってきてからは、またちょくちょく現れるようになった。
彼はスイーツ好きで、てめえはアル中なので、いつも彼の手土産は甘いものと日本酒である。まあよくわからん組み合わせだが、この日もてめえの料理で日本酒を飲み(彼は全く飲めないので、一人で)、食後に甘いものをいただいた。
食事しながらいろんな話をしたが、自殺未遂した友人(お互い知り合いでもある)の話になると、彼は呆れながらこう言った。「彼はいつもいろんな人に助けられて、いろんなひとにチャンスをもらっているのに、全く自覚なくいつもそのチャンスをぶち壊しますねぇ」まさにその通りですわ。こうやっていろんな友人を失っていったこと、わかってんのかいな。まあ、申し訳ないがもうてめえは関係ないがね。あとは勝手に生きてくれ。
元居候氏とは遅くまでいろいろ語ったが、夜遅くになって「明日仕事ですし帰りますわ」と、自分の折り畳み自転車を組み立てて自転車に乗り、大阪に帰っていった。
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