解放区

2011年10月31日(月) 友人その後/糖尿病性脳症

自殺未遂をした友人だが、内科の予約日だった日に予約通り受診してきた。こういったところは律儀なんだろう。

受診してくると、すぐに「病院を変えたい」と言ってきた。こちらももともとそのつもりで、本人にもそのように話していたのでまあそれはいいのだが、だが普通は、これほどの問題を起こした直後に紹介状を書いて転院させるのは仁義に反するのでしない。ので、この日は紹介しないつもりだったが、実際に診察室で本人と向き合って、なんだかどうでもよくなり紹介状を書くことにした。

「(今までの治療履歴の詳細および、自殺未遂事件の詳細の後に)上記患者様ですが、私の20年来の友人でもあり、今回治療関係と友人関係を別にした方がよいと考えました。紹介するには最悪のタイミングと愚考しています。大変申し訳ありませんが、御高配のほど何卒宜しくお願いします」と、馬鹿丁寧な紹介状を書いた。

さて、この友人の主病名は「糖尿病」である。てめえも一時期、糖尿病を多く扱う外来をしていたこともあったが、今はさらに専門特化した先生がおられるので、自分で糖尿病を治療する機会はほとんどなくなってしまった。この友人が唯一の例外で、それ以外の方は、診断した時点で専門外来に紹介する。

彼を専門外来に送らなかった理由は二つで、一つ目は、あまりにひどい糖尿病だったこと。初診の段階で即入院が必要な状態だった。専門外来の先生は大学からの派遣なので、入院は見ない。ので、初めの段階では、入院もしてもらいある程度コントロールが付いた段階で専門外来に紹介するつもりだった。

二つ目の理由は、彼自身が希望したからだ。まあそんな希望ははねつけてもよかったのだが、正直忙しい外来の中に彼が混じっていると、ほっと一息つけるというのもあった。

一つ目の理由については、ある程度コントロールできて来ていたので解決済み。二つ目については、ある程度コントロールできるようになった時点で彼に持ちかけていたのだが、彼は転医することを嫌がった。受診時間や湿布の処方などわがままが言えなくなるからだろう。しかし今回彼から言い出したので、これにて終了と相成ったわけだ。


「糖尿病ってのはね、代謝の病気ではなくって脳症なんだよ」と、以前指導医だった医師はてめえに言った。「つまり、血糖値が高くなるのは、頭がおかしいからだ。頭がおかしいから、インスリンが出なくなるまで暴飲暴食をするし、血糖値が高くなっても治療する気がないんだよ」と。まあそう言いたくなるような人も多いのは事実だがねぇ。

さて、これにて治療関係はおしまい。友人関係は、向こうはまだあると思っているのだろうがこっち的にはとっくに破綻しているので、これもおしまい。まあどこかで元気にやってくださいな。


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い・よんひー [MAIL]

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