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2003年10月04日(土) |
Factory24(樺地・跡部) |
言った瞬間から、言葉は勝手に一人で歩きます 言葉の塊で傷がつく事だってあります だから話すのは苦手です わざわざそんなことをまた繰り返すのはどうしてなんだ。喋らなくても、短い返事しか返ってこなくても、もう、そういうものだと分かっているのに。 でも、と続ける。 でも、言わなくては伝わりません
当然だろ、俺はエスパーでもなんでもないんだ。言葉じゃなきゃ、どうやって理解すればいいんだ。 身体に似合わない小さな声で口の中に留めるようにボソボソ言うから分かりにくいことこの上ない。それでも聞いてやる。こんなに喋るのは珍しいから。
だから
うろたえるように、視線が揺れている。俺はそんなにきつい事を言った覚えはない。なんだよ。どうしたんだいったい。
どこかに言葉が寄り道しないように、真っ直ぐ、伝えたいんです
そうすれば間違ったことにならないと言い出す。 お前がそう思うなら、それでいいんじゃないの。俺は投げやりに答える。訳が分からない。何が言いたいんだ。
跡部さんに言わなければ
そこで大きく、深く息を吐き、両の掌で顔を覆い、眠気でも覚ますようにごしごしこすって、また顔をあげる。
言いたい事があるのですが
言えばいいじゃねぇか、と俺は言った。言いたい事があればいえばいい。
そんな事言わなければ良かった。
樺地の口から出る一言一言が俺の体温を上昇させる。 頭から思考が消える。 心臓の音が耳の横から聞こえる。
そんな事を言うなと言いたい。お前が先に、そんな事を言うなと言葉を遮りたい。でもその言葉は凄まじい勢いで流れこみ、心を決壊させ、押し流し、津波みたいに俺を飲み込む。
あの
樺地が俺を覗き込むように身体を傾ける。
聞こえてますか。ちゃんと
聞こえてる。聞こえてるから、こんな風に動けないんだ。お前のせいだ。ふつふつとこみあげてくる。怒り、じゃない。爆発しそうな何か。
それで。あの
俺は樺地の首根っこをひっつかむように腕を回す。あいつがよろけるから、俺まで転びそうになる。お互いがお互いを支えあうみたいに、腕を回して、息が混じりあうぐらい近づいて。
お前が言葉はちゃんと伝わるかどうか分からないなんて言うから。じゃあ、俺は言葉じゃなくて、こうやって、伝えてやるんだ。
俺って親切だろ。なぁ、樺地
★誕生日の子供に甘めの幸せを。たまには。・・・あぁ恥ずかしい★
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