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2003年09月11日(木) |
Factory21(跡部) |
どうしてこいつここにいるんだろう
振り向くと、一歩後ろを歩いている相手の瞳が真っ直ぐに彼を照らす。ずっと見つめていたような、気づいてすぐさま向けたような、偶然顔をあげただけのような、そんな眼差し。 「なぁ、樺地」 彼の方に身体を傾かせる相手は、耳だけでなく、全身で彼の言葉を待ち受けているみたいに、いちいち真剣で。 そんな風に人の話を聞くのが、相手の癖だと分かっている。 けれど、他の誰より、彼に向かっては深く傾き、距離を縮めているような気がする。
だからって、なんてこともないけれど
なにか、くだらなくて幼稚で馬鹿げていてわがままでつまらなくておかしな事を言わなくてはいけない。これを失わせるような何か。
でも彼の舌は痺れ、彼の声帯は凍りつく。
気がついちゃいけない。それに名前をつけちゃいけない。名前がついたら、それを無視する事ができない。
どうしておまえここにいるんだろう
彼は歩き出す。後ろから聞こえる確かな足音。彼を脅かす音。
★メモ★
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