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2003年07月20日(日) |
Factory11(樺地・跡部) |
俺を乗せろと跡部さんが言いました。 俺は少し考えて、鍵を渡すと違うだろうと言われる。 運転すんのお前だよ、俺はこっちに乗るだけ 自転車の荷台を跡部さんが叩きます。跡部さんが乗っていきたいのかなと思ったけど、そういうことではなかったようです。 俺は自転車置き場から自転車を出し、前のカゴに跡部さんの荷物を置いて、その上に自分のを置いたら、俺のを下敷きにするのかと跡部さんに言われたので、逆にしてあげました。 早く乗れよ 跡部さんは俺を急がせます。俺が乗ると、跡部さんは自転車のスタンドの支柱のあたりに片足をかけて、俺の肩に手を乗せるので、そういう姿勢じゃ危ないですよと俺は言った。 危なくねぇよ。みんなやってるだろ みんなはやってても俺は怖いので、嫌ですと言ったら、俺の肩をばしっと叩いて、だったらいいよと、跡部さんは座って、俺の制服の両脇を掴みました。これで安心して出発できます。俺は安心したい。跡部さんも安心すればいい。
荷物も跡部さんも重いので自転車はとてもゆっくり進みます。跡部さんは鈍いなぁと大きな声で言う。でもこれ以上早くはならないので何も言わないでいると、背中に跡部さんの頭がぶつかってきました。それでも黙っていると、今度はぎゅっと手を身体に回されました。手はどんどん俺をしめつけてゆきます。ぎりぎりしめられて、どんどん力が増えてゆく。 苦しいけど我慢していたら、ぱっと手が離されてそのまま後ろの重みがなくなりました。驚いて自転車を止めて後ろを見たら、跡部さんが降りていました。 もう、いい。歩く 跡部さんは俺を抜かして歩いていきます。俺も自転車から降りて歩きました。最初からこうしていれば良かった。危なくないし、重くないし、さっきより早くに進みます。 お前、二人乗りもっと練習しろ 跡部さんの横に並ぶと、そう言って背中を叩かれました。練習と言っても一人ではできません。跡部さんは時々無理な事を平気で言う。 ほら、もう一回頑張れ 跡部さんは俺の腕を掴んで止めると、後ろに乗ります。俺もまた自転車に乗りました。 重いペダルを踏んでも自転車はよろよろしてゆっくりにしか進みません。 でも跡部さんは今度は何も言いませんでした。背中に跡部さんの頭がよっかかってきて、息をしているのが分かりました。耳が押し付けられるのも分かりました。跡部さんの手にはあまり力が入らなかったので苦しくありません。これはいい。 だんだん慣れてきたので自転車のスピードが速くなっていきました。そうすると今度は速過ぎる、俺を振り落とすのかと後から大きな声が聞こえました。 跡部さんは時々言う事がこんがらがります。さっきみたいにつかまればいいのに。俺は跡部さんが掴んでいる手をひっぱってひっぱって、手を回させて、ちゃんとつかまらせてあげます。跡部さんは不機嫌な犬みたいな声を出しましたが、ちゃんとつかまってくれました。さっきみたいに苦しくもありません。これでいい。 俺は安心して自転車に乗れます。跡部さんも安心すればいい。
樺地の描き方練習
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