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2004年12月31日(金) ■ |
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年越しおやこまんざい。 |
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「はーくんおかえりー。ねえねえみかんむいてくれない? みかん」 「……重大かつ緊急な用があるから即刻戻って来いとハンターズ端末に連絡が入ったからUlt坑道から全速力で帰って来てみれば……」 「むいてくれるよね、みかん」 「なあHARUKI。みかんはHARUKIが今肩まで潜って寝転んでるこたつの上に置いてあるんだから俺を呼び戻すより自分で起き上がってむいた方がずっと早いと」 「むいてくれないとでも言うつもり? いつからはーくんはそんな親不孝な子になったの?」 「いや何も俺はむかないとは言ってないしもちろんHARUKIに逆らうつもりだって毛頭ないからとりあえずそのソウルバニッシュをしまってくれ。今年も今日で終わりなんだからもっと和やかな雰囲気で頼む」 「あまいの選んでね。すっぱかったらはーくんとんでもない目に遭うよ」 「とんでもない目って何だよ…?!」 「まああんまり想像しない方がいいかもね」 「………(みかんを真剣に選び中)」 「ところではーくん、何だってわざわざ大みそかにUlt坑道なの? うちの大掃除は昨日はーくんが一人で済ませちゃったしおせちとかお雑煮とかは明日父さんの屋敷の方でいただくことになってるから別にはーくんが今日いようといまいと私には何ら関わりのないことって言うかいない方が静かでのんびり出来ていいんだけどこうして目の前にはーくんがいるのにそのことを話題にしないのもかわいそうだから一応尋ねてみるけど別に答えなくてもいいからね」 「答えるも何もHARUKIが昨夜行けって言ったんじゃないか…! 年が変わるまでに何がなんでもヴィリディアカードかマグ50玉拾って来いって…!」 「みかんの白いすじも丁寧にとっといてね。私そのすじ食べたら爪先の方から死んでいく体質だから特に気を遣ってね」 「俺の話ホントに聞いてないし…! まったく…そろそろウチで養うには無理があるぐらいの数になってきてるってのに何故そんなにマグが欲しいんだ、一体…」 「来年は広いおうちに引っ越そうかなー」 「ここ移民船の中なんだからそんな気軽に転居とか出来ないような気がするんだけどな…」 「書類に『かわいいマグ達のため』って書けば平気だよ。通るよ」 「通る…かな…」 「通すよ」 「通す…!?(驚愕)」 「そんなことよりみかんはむけたの? きれいにすじもとってくれた?」 「あ、ああ…ほら。一つでいいのか(差し出す)」 「(受け取る)…なまぬるくなってるでしょー!!(投げつける)」 「ええーッ!?(衝撃)」 「はーくんみかん持ちすぎ! 私は冷たいみかんの方が好きなの! そんななまぬるいみかんなんて食べられない!」 「持ちすぎって…! 筋のところまで全部取ろうと思ったらどれだけ手早くしてもこのぐらいの時間は…!」 「口答え…? 口答えですかはーくん…? もうじき今年も終わりだって言うのに来年を迎えられなくてとても残念だわはーくん」 「待て俺はそんな口答えとかじゃなくて! さっきから疑問に思ってたが何でHARUKIはこたつで寝転ぶのにソウルバニッシュなんか抱えてますか! しかも何気にマグ装備してる、ってそれ俺愛用のデーヴァじゃないか…! 道理で係員にチェックルーム探してもらっても見つからないと思った…! そいつがいないから俺はHALTOに借りたカーマで坑道を探索する羽目に…!」 「あ、ならかの方がいい? そうだよねやっぱならかの方がかわいいよね」 「いやそういう問題じゃなくてだな」 「ソウルイーターの方がいい?」 「そっちの問題でもなくてだな」 「じゃあ一体どうすればいいのよ! はーくんのわからずや! ろくでなし! ごくつぶし! ひきこもり! ひきこもり!」 「何で最後だけ二回言うんだよ…?!(愕然)」 「ふう。はーくんは結局今年もずっとこんな感じだったねー」 「…今年は初詣行かないのか、HARUKI? 夕方HiHuMi達が誘いに来てただろう」 「はーくんまたおみくじ引きたいの?」 「………やめとく………、………! 今の発言はつまりHARUKIが初詣に行くときにはごく自然に俺も同行させてくれるつもりであるとそういう」 「こんばんは! 今年も一年マザコンでしたねハルキリさん!」 「JUN…! なんてタイミングで…!」 「あけましておめでとうございますHARUKIさん!」 「JUN君あけおめ〜」 「まだ明けてないぞ二人とも…!?」 「いやだなあハルキリさん。こういうコトはその場の雰囲気で数時間ぐらいなら早まってもいいものなんですよ?」 「決してそういうものじゃないと思うんだが…」 「いいのよはーくん。大みそかの数時間なんか宇宙の歴史に比べたらほんのまばたき一回にも満たないぐらいのわずか過ぎる誤差なんだから」 「誤差扱い…」 「それで何しに来たのJUN君? 今年から12歳以上の人はバトル部屋で私と兄貴と父さんの三人に勝ち抜いた場合にのみお年玉をゲット出来る制度に切り替わったから死ぬ気で頑張ってね」 「新年早々いきなり死にますよそれ。勝ち抜きとか言ってるけど順番にやるのはめんどくさいからって結局三対一の部屋に送り込まれるんですよね?」 「さすがJUN君わかってるー」 「まあ言葉通りに勝ち抜き戦であったとしてもその中の誰にも勝てる気がしないので遠慮しておきます」 「さすがJUN君わかってるー」 「いやそんなそれほどでもー」 「そこは怒れよJUN…!」 「…オレこの部屋バトル部屋にしたくないッスから…」 「ま…まあ正しい判断なんだろうが…」 「それはそうと年越しそばを食べるから、HAL さんが今夜のうちにみんな屋敷に集まるようにって」 「えー。めんどーい」 「血を分けた父親の誘いなんだからもうちょっと言い方があるだろうHARUKI…」 「そうですよHARUKIさん。HAL さんも元気なようでいてそろそろあんなトシだし年越しそばなんかもうあと数えるぐらいしか一緒に食べられないんですから一回一回を大事にしていきましょうよ」 「お前も他に言い方があるだろう…!」 「そっかー、そうだよねー。やたら元気なんでうっかり忘れてたけど考えてみればうちの父さんってもうカンオケに片足どころか両足突っ込んでてもおかしくない年齢だもんね。人生何が起こるかわからないしひょっとしたらこれが最後の晩餐ってことも有り得るし、それじゃあ年越しそばきちんと食べに行かないと」 「そんなんで説得されないでくれ…!」 「それじゃ、オレHALKA サンのとこにも回りますんで。お先に出てますね」 「はーい。また後でねー、JUN君」 「年末年始は物騒だからな、夜道には気をつけろよ」 「あはは、ハルキリさんじゃないから大丈夫です」 「………俺何かしたのか?」 「じゃあまたあとでー」 「俺誰かに狙われてるのか!? 何で!? 俺別にそんな何も」 「はーくんはしてなくてもねー………」 「………」 「はーくんに覚えがなくてもねー………」 「…HARUKI? 何故そんな嫌なところで言葉を濁して俺から目を逸らすんだ?」 「はーくんは私が作ったってことみんな知ってるしー………」 「だから言葉を濁すなと! 俺の知らないところで一体何をしてるんだHARUKI! 年の終わりの質問にぐらいきちんと答えてくれてもいいだろう!」 「さあさあそれじゃあお屋敷の方へ移動しよっか。寒いけど我慢我慢」 「今年も結局こんなんなんだ…! きっと来年もこんなんなんだ…!」
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