Stage Diary
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Yoshimi.Aが観た舞台の感想です。
レポートではなく感想だけを載せてたりすることが多いかも…。(^-^;


2004年05月30日(日) 『オイディプス王』

2度目の『オイディプス王』…。
ギリシャでは野外公演は2時間を越えちゃいけないものなんだと教えてもらった。
だから本作品も休憩なしで2時間以内に収めたのだと…。
でも、観客的には日本では休憩入れてくれた方が嬉しかったな…。<休憩は観客の為にあるのではありません。(^^;
もう、上演中は膝が痛くて終演後に席を立った時にはがっくんがっくんなってたので…まっすぐに歩けなーい!
もうちょっと足が伸ばせる劇場だったらそういうこともなかったんだろうけど…。(;;)
無様に転ぶことは避けましたが、か〜な〜り〜危なかったです。

内容自体は大当たりか大はずれかどっちかの評価しかつかないらしい(笑)蜷川さんが『演出を変えた』と嬉しそうに語ってただけあって、随分と違うものになってました。
まあ、この舞台は前回も当りだと思ってましたからね。その点の心配はしてなかったですが。
どういう変わりかただったかといえば…前回のが耽美〜な印象。
しかし、今回のがメリハリついてて無駄なものが殺ぎ落とされたようなシャープな印象。
まあ、そのせいで前半はダイジェストチックに感じちゃう物足りなさもあるけれど…。(これって2時間という制約上、時間との闘いだったんでしょうか)
ふと、思い出した時に浮かぶのは前回公演のシーンもあるけれど、全体的には今回のが好きかもしれない。

セットに関しては…石造りの館を模した壁と短い階段…蜷川さんの舞台の割には随分と具体的なセットだと思いました。まあ、大体が王の館の前でといった風情で話が進むので、金網やら有刺鉄線やら…鏡やら…それらに比べればその意匠を読み取るまでもないのですが…あとは階段のところに生えてる?突き刺さってる?…黒い植物のような…ハヤニエのようなものは…以前にも見たような気がするって思うのは私の気のせいでしょうか?(^^;
『マクベス』の時だったかな…?に、あんなの使ってなかったかな〜なんて思うのですが。
使いまわし…?リサイクル…?まあ、1回の舞台でお払い箱にしちゃうようなもったいないやり方はするべきじゃないと思ってますが…それならば曲も前回の物がよかったな…。
東儀さんの曲だから、それほどテイストに変わることはないけど、あの『ハムレット』の時に聞いたあの曲だけは気に入ってたのでをもう一度聞きたかった。<今回、音楽はあちこちメロディライン違いましたよねー?(…誰が答えてくれるというのか。(^^;)

で、俳優さんたちに関してどうだったかといえば…1週間先に観た人から『コロス達の声が揃ってない』と聞いていたものの、予想してたよりも揃っていたように思ったのでまず一安心。<でも、先週は東儀さんが舞だったんだよね〜(;;)果たして、どっちがよかったのか…
その1週間の間にめきめきよくなっていったのでしょうか。しかし、それでも時々ばらつきが見られました。前回公演の時の方が『一糸乱れぬ』と形容するのが相応しいと思うほど、声が揃っていただけに…もうちょい強調性を大切にしてほしいです。決まってずれてるのはいつも同じ人だったけれど、演出家はそれを許しているのか…?それとも、ことあるごとに注意して直らないと凹にしているのか…?<気になります(^^;
『だ〜れが乱してる〜のか〜なぁ〜!』とはあえて追求しないけれども。(^^)
そして、もう一つ乱れていたもの…前回公演に続いて、またしてもコロス達は笙を吹きます。(本当は『奏でる』と使わなきゃいけないのかもしれないけど…『奏でる』といえるだけのレベルではないと付け加えさせてください。やはり、付け焼刃じゃどうしようもないことの方が多いんだよ…(;_;))やっぱり今回もいました。『ぷわぁ〜ん』って音を出してる人!(笑)前回公演のときのように通路脇を通って行ったりはしないので、それほど顕著にわかるわけではないのですが、それでも…大体の人が『ファーン』って音を出してる中に『ぷわぁ〜ん』(笑)。
笑うところじゃないと思う…けど、どうしても洩れる笑いをうまく噛み殺すことが出来ない。
まあ、個人的にはある意味ちゃんとした音ばかりが出てるよりも外れた音があった方が微笑ましくて好きなんだけど…お金を取って人に見せるからにはそれじゃマズイよね。
今回のキャストは気合が入った、蜷川さんの舞台によく出てる人ばかりなのだから…気心も知れてるはず…!と信じてますので、精進お願いします。
この舞台が成功するか、失敗するかは主役が問題ではありません。その評価は総てコロス達にかかってます…と思いました。主役はチェンジしてもそこそこのクオリティを保つことができると思うが、コロスがへたれたら…この芝居は死ぬ!
びたーんびたーんと身体を舞台に打ちつけるように倒れ伏す最初のシーンやら(多分、このシーンは身体をかばって倒れようものなら演出家に凹にされてたんではないかと思います)、一番身体張って演技をしているのもコロス、物語をピシッと引き締めるのも…コロスの出来如何。…大変な役だ。(^^;
舞台は麻実さんの他はむさくるしいおじさんばかりなので、主役は目の保養でさえあればいい(笑)。<お子様達も出てましたけどね〜(^^;
でも、コロス達はそうはいかない…。皆、同じ坊主頭に同じ衣装だからこそ、僅かでも乱れちゃなんねぇ!
だからこそ、この役には蜷川舞台で場数を踏んだ人が多いのだろう。

それから、コロス×20、羊飼い×2にクレオン、盲目の預言者とその手を引く少年、長老(?)<瑳川さん、オイディプスの娘達を除けば…舞台上に華が、潤いが欠けるものだからはじまってからず〜っとずぅ〜っと『麻実さん早く出ないかなー』とそればかり。登場されるまでが本当に長く感じました。
登場した時は本当に潤い(笑)。そして舞台から消えたときにはがっかり…(;;)
やはり、幾つになっても(苦笑)美人だ。麻実さんは…どうしても『蜘蛛女のKiss』の時のあの美脚が忘れられない。そういう趣味があるわけじゃないけど、女の目から見ても綺麗な足をしてらしたのです…って、多分麻実さんを観る度に毎回こう言ってる気がしますが。(^^;
本当に美しいですから、まだ観たことのない方はぜひ、どこかでご覧になってください!
本当は、もう一度あの『蜘蛛女のKiss』が観れたら言うことはないのでしょうが…。<私が観劇した時に『日本最終公演』って銘打たれてました。だからこそ、『これはいかん』と思って観に行ったのですが。

そんな麻実さんですが、この方に関して言えば前回のが好きだった。
今回も相変わらずお美しいのですが、でも、母性と女性を微妙に行き来するあの曖昧さがなかった。
今回の王妃像は『母は強し!』そんな感じです。
そして、オイディプスといる時は完全に女であり、母ではない。
母と女の二極を瞬時に行き来はすれども、アプローチがはっきりしすぎて観客が想像をめぐらせる余地はなし。
そして、王様よりも男前…。(^^;
再演の分だけ共演者と気安さがある分、1シーズンを経て王妃像に自信がついた分、はっきりとしたビジョンを打ち出しすぎて、うまい効果を得られていた惑う部分すら殺ぎ落としてしまったようにも思えた。あの、共演者との関係を手探りするような曖昧な空気が懐かしい…いや、惜しいと思う今日この頃です。
そんなだったからオイディプスの出生が明かされていき、取り乱すシーンが急に顔が変わるから、それが唐突過ぎて…戸惑う…(―_―;

それから、王妃の弟っていうには麻実さんが綺麗過ぎて…自身がおじさん過ぎて考えさせられるものがあるクレオン…吉田さん。
やはり、この方はクローディアスのような悪役よりもこういったまっすぐで腹芸の出来ない不器用な…だけど情の厚い人間を演じる方が似合っているようにも思う。
この方は概ね以前の印象のままでやられているな…と思ってたんですが、やられた…。
(―_―;
後半が全然違う!
この方の場合は前回のようにあからさまにオイディプスへの情を表わしてるわけではなく、今回は悲劇に背を向けてたりして、ふれあいも少なくさり気ないやり取りでしたが、それだけに『オイディプスが痛ましくて見てられない』とでもいうような深い気持ちが伝わってきました。
背中を向けているからといっても冷たいわけじゃない、情があるからこそ、その姿を正視できなかったのだ…何もしないで、背中だけで…僅かに掴んだ手だけでその思いを表現してしまう…とてもいいものが見られました。
かっこよくはないけど(笑)すごい人だ…と思っていたけれど、ますますその認識は強まりました。

う〜ん、最後は王様、萬斎さん…。
やはり、声は届いてはいるものの、声帯の弱さが気になる。出演者の中で一番喉が鍛えられてないのが王様…。この日はアルコール焼けの声ではなかったけれども(←よくあるそうで・笑)、やはり喉が弱そう。
高音はともかく、低温で音が割れてる。元々がああいう声質なのだから、もう少し日頃から喉を労わった方がいいと思う。
しかし、そんなことはどうでもよく!(笑)
相変わらずマイペースでカチッとしたストレートプレイの中で一人だけ狂言調。
上手いとは思わないけど、無視もできない得体の知れなさ…。(^^;
『オイディプス』や『ハムレット』に狂言…今まで何度か観たけれど、それでもよくわからない役者さんだ。
技術レベルよりでどうこうよりも…雰囲気作りが上手いのかな…。
まあ、技術だけならいくらでも上手い人はあげられるけど、それに+αの魅力がある役者さんはぐ〜んと少なくなるから。
技術は演出家やスタッフが寄ってたかって身につけさせることができるけど、それに+αのエッセンスが加えられるかは自分でどうにかしないとどうにもならないことだと思うから。
この人の場合はそれが上手いから、藤原ハムレットを観に行ったはずなのに、『くるくるあるかな…』なんて期待するほど、印象は強い。(ハムレットの時のあれは強烈でした…未だによく思い出すほど。そして、新婚ちゃんなどをからかう時には必ずその話を出すが、誰もやってくれない(^^;)
これで声がよくて演技が上手かったらやば〜いくらいにはまっていたかもしれないけど、そうならなくてよかった…。

ま、今回もそんなカンジで文句つけてますが、いい舞台でしたよ。
また蜷川さんの舞台観に行こうと思うほどには…!

しかし、次回は『お気に召すまま』なんだよね…。(;;)
題材も好きで、ビジュアルが美味しそうで、出演者が面白そうで…とは思うものの、その主役達は…ルックスと立ち姿だけが取り得のフォーティンブラスとこれまた芝居ができない前フォーティンブラス。
両方とも学芸会レベルでしかないから、どんなに脇をしっかりした人で固めたとしても、観に行こうとは思えない…。
気分が萎える。
蜷川さんが2〜3年かけてみっちりと脇役からやらせて育ててくれるのならそのキャストでも5年後くらいには観たいけどねー。今じゃ…(^^;
ビジュアルだけは美味しいと思うのに、残念…。
まあ、名古屋公演があって、しかもチケット代が7000円くらいなら考えなくもないけど…きっと、無理だよね。

こっちはきっとはずれ舞台だからいいや〜(笑)。


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