『スウィート・バイエル』
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2004年06月13日(日) |
『ルビー』と、お金をもらうお仕事で思うこと。 |
扶桑社リアルロマンス文庫 スペシャルエディション 『ルビー』 に掲載された私の作品『ルビー』についてのことをいつか書こう…… と、最初は燃えてたんだけど、なんだかねぇ(苦笑) 気付いたら、「取りようによっては言い訳に聞こえちゃうかな?」とか思い初めて。 そのうち、体力切れでふにゃ〜っとしてて。 なんだかんだで今日になってしまいました(苦笑) でも私はこの日記を、 ご主人様との逢瀬の事を含め「麻瑚という自分の記録」と思って続けてるので、 そういう意味では書くべきかな、と。
なーんてごちゃごちゃ言いつつ、 実は、一度失った書く気を取り戻してるわけでした(笑) さぁ、書くぞ〜!(苦笑)
「ストーリーを難しくするより、単純な展開にして下さい。 その方が読者も入り込めると思います。 たしかにジャンルは官能ではありますが、それよりも愛情を描いて下さい」 とりあえず、まとまりないまま提出したプロット、 数日後にその返事が届く。要約すると、上記の内容でした。 私が出したAパターン、Bパターン、ともにプロットはボツ。 かろうじて通ったのは 「上記のようなストーリーより、 同級生がクラス会で再開し、同性愛として展開するという コテコテなお話の方が良いですか?」 という……たった2〜3行のアイディアだけだった。 お返事が届いた瞬間、私はパニックに陥ってしまった。 なにより、今まで 「エロシーンが苦手でしょ?」「濡れ場が少ない」「官能とは言えない」 と言われ続けてきた私の作品に、 初めて告げられた「濡れ場より愛を」(苦笑) このお言葉が、もの凄くショックだった。 慌ててプロットを読み直してみた。 だが私にとっては、普通の官能小説のような匂いは全くしていなかった。 だから、余計に……(涙) 「プロットから出します、お願いします」と自ら編集長に伝え、お願いしていた。 それは、怖かったから。 だって私みたいな駆け出しで、運でここまで来ちゃったような輩には、 先方が求められてるモノとか、よくわかんない。 それに……あまりに「毛色違いのもの」を提出し「これはちょっと……」とボツなにるのも、 せっかくのチャンスを潰すようで、悲しい。 テーマに沿って書くというのは、 PCafeのコンテストでやってたから慣れているはず、と思ってた。 が、しかし。 届いたテーマは予想と違っていた。もっと抽象的なテーマが届くと思っていたのだ。 同性愛(女性) それも私が一番苦手なテーマだ。 だって、レズビアンって、リアルな世界でもけっこういらっしゃるでしょ? それに、女性に(多かれ少なかれ)好意を持ったりすることは多いと思うし 女性とえっちなことを、まるで子猫がじゃれるように、 かわいく楽しんじゃうじゃう女性も多いと思う。 私も、かわいい女の子は好きだ。おっぱい大きいお姉ちゃんをイイ!と思う。 だがそれは、可愛い小動物を見る目と同じ目だと思う。 私も他の女の子のアソコを生で見たことはある。でも、触れたことはない。 そんな私が……(涙) それに以前、ゴースト的なお仕事で、洋ものレズビアンを任されたときに、 「こりゃ、合わないな」と思い、以後レズ作品には手を染めないと心に誓ってきた。 話かわって。 創作する中で、私は自分の中で決めていることがひとつある。 「話が、あまりに突飛にならないこと」である。 「それ、うっそだぁ〜。あまりにも突飛過ぎ」と思ったら、 人ってさめちゃうじゃん。冷めたら読むの辛いじゃん(苦笑) 私はそうだもん。 「つくりごとだけど、いや、もしかしたらこんなことも……」と思わせる作品が好きなのである。 故に、PCafeコンテスト時代から、小説を配信する(される)度に、 「これ、実体験ですよね? 続きが楽しみです」というメールが届くと ちょっと苦笑しながらも、凄く嬉しかったりする。 ま、100%ウソはあり得ない。 どこかに自分の経験を生かしてる部分は必ずある。 そのシーンに経験をそのまま放り込む事もあるし、 それを基に物事を置き換え、場面を想像し、ストーリー展開させることもある。 ……今思ったけど。なんかこれって、「偽札作り」みたいだね(笑) 『ルビー』の話に戻りましょう。 プロット全ボツは、編集長が悪いわけではないのだ。 私が悪いのである。 プロットからきちんと書き込み、説明をしなかった私が悪いのだ。 早い話が「準備不足でプレゼンに負けた」のである。 ソレに気付いたのは、プロットのお返事をもらってから数日後のこと。 でも後悔先に立たず。もう遅い。 唯一通った、コッテコテなアイディアをもとに、いろいろ考える。 考えるが全くまとまらない。 レズビアン関係の本を検索し、amazonで購入してみた。 とあるレズビアンのムックス?本の中には、小説も掲載されていた。 読んで……がっくり。その前に掲載されているレポートなどは面白いのに 小説はつまらない。 ただ、男女の話を女性に置き換えているだけという匂いがプンプンする。 ……いや、書き方としては間違ってないけど、それじゃいけないじゃん。 読者にそれと気付かせては……私は短編を読みかじっただけで満腹になって本を閉じた。 何にも参考にはならなかったけど、反面教師にはなった……かな(苦笑) そう思ってプロットを作り始めた。 だがそこに、恐怖の「PCafeの担当日追加」という試練が押し寄せてきた。 このお話はまた後日に。 とにかくどんどん時間はなくなってきた。 12月上旬。 もう間に合わない。そして私は「賭け」にでることにした。 そう、掟破り……「ボツ・プロットを生かした」のである(苦笑) Aパターン(コミカルな作品)は、箸にも棒にもかからないというか、 全く受け入れられない・目指すところが違うという感じだったので、 Bパターンのプロット(暗い作風)を使った。 導入部分は唯一通ったアイディアで、それ以外はボツプロットのBパターンという構成だ。 主人公は同性愛(タチ)の女性。 やっぱり女性が好きな方も、相手にはノンケの娘を好むのでは?と思い、 お相手(ネコ側)には普通の女性を用意した。 普通の娘を愛するが故の心の葛藤や苦労というのが絶対あるだろうと思い、 それを主人公女性の「軸」に据えた。 普通の女性には、か弱い雰囲気を醸し出すキャラにした。でも実は……という ちょっとした伏線を用意して。(伏線は全く難しいものではない) 愛する人と一緒に居る楽しさはある。 でも何か……小さな亀裂や隠し事に気付いた瞬間、自分の傷を相手に隠している罪悪感など それらによって生まれる「せつなさ」というのは、 男女にかかわらず恋愛感情につきものでは? そう思い、それを話の柱とした。 作品の感じは、色としては暗めだと思う。 彩度は低いが、暗いながらも強い光を発するような……自分の中ではそういう印象。 今までの麻瑚作品を知っている方には「作風が違う」と思われるだろうけれど、 実は未発表作には、こういう作風のものがあるのだ(苦笑) 今回なんでこの作風をもってきたかというと…… プロットAの明るいおちゃらけ(お笑い寄り)がボツになったことと、 前回の『I Love you,baby.』の、出版者側評価の中に 「作品が軽い」というのがあったからだ。 「編集部側で『軽い』とおっしゃるなら、じゃあ今回は、重くしましょうか? 私、重めのも書けますよぉ〜」 (但し、私の特徴である「さらっとサクッと読める」感は失われますが) というだけのことである(笑) そして結果は……作品は採用され、表題作にまでして頂くことができました。 編集長、ありがとうございます(涙) 今回の件は、本当に勉強になりました!
お金をもらって書くということを、ちょこちょことしているわけですが…… そこでやっぱり解ったこと。 いや、解ってはいたけれど、再確認したこと。 自分で書いてみたいテーマや作風など、 自分の思うママの作品を書いて「どうにかなりたい」なんてーのは、 やっぱり100年早いのである(笑) 特に、作風のひとつに「コメディ系」を持っている私にとっては、非常に辛い。 エロコメって読者さんは喜んでくれるけど、出版者側には受け入れられないのだ。 私はもともと、(日記を除き) 極力、読者がいるということを想定してモノを書くようにしているつもり。 特に創作はそうしているが…… それでもやっぱりシンドイことは多い。 書いている途中で「苦手だ」と気付いても、連載のお仕事ならば投げ出すことはできず、 ギリギリでいいから、及第点をとりつづけなければならないのだ。 その「書きストレス」のはけ口が、ネットで発表&配信する創作であったりする。 それらは実験的であったり、自分が「書いてみたい」と思ったテーマで書くことが多い。 確かに力の入れ具合は違うが、 そちらもちゃんと「読んでくれる方がいること」を想定して書いている。 それ故に、活字化される作品より「麻瑚らしい」とは思う。 仕事と割り切って、なるべく求められる方向を見失わず、 なおかつどうやってそこで自分の個性を出すか……を考えて書くことと、 楽しみながら実験的に書くこと。 活字化及びお金をもらうお仕事と、無料のメルマガ配信の違いは、 そんな感じであろうか。 書くことも、本当に「職人的なお仕事だ」と思う2004年の麻瑚でありました。 ま、日記は気楽〜。推敲とかぜーんぜん考えてないし。 こうやって「思考ダダ漏れ状態」で書いてるから、らくちんらくちん(笑)
そして、麻瑚の(創作の)実験は、まだまだ続いていくわけでございました。
まとまりないけど、このへんで(苦笑) 《 2004.06.13 4:58 記》
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