++ワタシノココロ++
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やすくんの実家にお泊まり。 急なことで、着替えも何もなかったんだけど 色々貸してもらってお風呂に入る。
お風呂から出てきて、部屋に戻ると やすくんが古いアルバムを抱えて見てた。
「俺のばあさんのアルバムなんだ。なんかおもしろい」
ずいぶん前に亡くなったおばあさんの写真。 映ってる人のほとんどを私は知らないけど、 やすくんのお父さんやお父さんの弟妹の若かりし頃の写真も 中にあったから、私はそれを見て楽しんでた。
見覚えのある大きな目。 特徴的な唇の形。
「あ、これやすくんだね」
小学校に入学した頃のやすくん。 当時なかなか髪を切りたがらなかったらしく 坊ちゃん刈りのやすくんの髪が不思議な感じ。
思えば、赤ちゃんの頃やようやく歩き始めた頃の写真や 中学、高校の頃の写真は見たことあったけど この年代のやすくんを見るのは初めて。
赤ちゃんのにおいをちょっと残して、 でも、もうお兄ちゃんなんだ、と言う表情が愛らしい。
でも、どこかで見たことあるよなあ・・・
そんなことを考えながら、アルバムのページをめくっていく。
家族旅行だろうか。奈良公園の鹿の前で幼いやすくんと妹が 鹿せんべいを片手にポーズをとってる。
・・・・・・・あ。
さっきまでのもやもやが、一気に晴れた。
・・・幼なじみの、男の子に似てるんだ。
家族ぐるみのつきあいで、一緒に旅行へも行ったことある 同い年の男の子。 元気で活発で面白いのに 髪の毛がつやつやで、唇も赤くて、なんだかお人形みたいに可愛い顔してた 幼なじみの男の子。
・・・・・・・・・私の初恋の相手の男の子(照)
鹿の前のやすくんを見て思い出したのは、 私の家族と、その男の子の家族でやっぱり奈良公園に行って 同じようにポーズを撮った写真を思い出したから。
今は結婚して、よきパパだし 私にとってもかけがえのない友人の一人でもある彼。 そして、彼とやすくんは似ても似つかない顔をしている。
なのに、小学校に入る前後の表情は 不思議と私の記憶の中の彼の表情と重なる。 まるで、あの頃の自分の戻ってしまったみたいにドキドキもする。
一瞬、やすくんに話すかどうか迷ったけど 今更初恋話に花を咲かせるのも恥ずかしいと思って 心の中にしまっておくことにした。
なんか、運命を感じてしまった私は
そうとうロマンチックでメルヘンな女でしょうか?
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