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2001年08月16日(木) シアワセナ瞬間

今日は、やすくんの両親と一緒に過ごす。
午前中はやすくんの部屋で洗濯と掃除をして。
昼過ぎ迎えに来てもらってから、
やすくんのお母さんと配達の手伝い。
(やすくんの家は自営業)
「えぇっ!配達?」なんて思ったんだけど、
せっかくのご厚意。それにやっぱり、

認めてもらってるのかな?

なんて思うと嬉しくて、車に乗り込む。
初めは恥ずかしかった「ありがとうございました」も
何件かまわってると、気持ちのいいものへと変わっていく。

仕事が終わってから、3人で花火大会へ。
広い空に打ち上げる花火の大きさにビックリ。
「うわぁ…」って声が、自然と出てくる。
一緒にいるのは、やすくんの両親で
出会ってから今日で4日目、なんてことをすっかり忘れて
大はしゃぎする。
3人でたこ焼きを食べながら、とりとめもない話をする。
家では無口で硬派なお父さんも、なんだか嬉しそう。



「ねえ、今晩も泊まっていったら?」

花火大会の帰り、食事に向かいながら
やすくんのお母さんが不意にそんなことを言う。
「今日はみんないないし、ねえ」
「明日はヤス休みだって言うし、朝起きたら迎えに来てもらえばいいよ」
「ヤスの部屋、暑いでしょう?だから…どう?」

親戚もみんな帰り、やすくんの妹、弟も外出してる。

さみしいのかな…

お父さんも、黙ってうんうんと頷いてる。
やすくんのところへ帰りたいけど、
そうやって誘って下さる気持ちや
ふと感じた2人の寂しさを考えると
「帰る」の一言が言えない。
この前の1人での実家でのお泊まりが
意外に楽しかったせいもあるかもしれない。
どうしていいのかわからず、笑ってごまかしてる私。
3人での食事はやっぱり楽しかったけど、
やっとの思いで喉を通る、そんな感じだった。

何を思ったのか、お父さんがどこかへ電話してる。

やすくんのところかな
まだ仕事中だよ、きっと。

心の中でそうつぶやく。
もし、このままやすくんの実家に帰ることになっても
それはそれでいいかな、
こんな風に望まれるって嬉しいことだもんね
なんて思ってた。

「ヤス、今仕事終わったって。」

お父さんの意外な一言にビックリ。
「じゃ、家に連れて帰るって話してみようか」


やすくんの方が一足早く待ち合わせのコンビニに着いてた。
朝別れたばかりなのに、久しぶりに会う気がして、
何だか恥ずかしくて顔を見ることができない。

車を降りて、やすくんのお母さんが話をする。
「今日もうちに泊まってもらおうと思って」

優しいやすくんのことだから、
きっといいって言うに決まってるよ。
疲れてるし。ゆっくり1人で休みたいよね。
この前の「泊まっていったら」って言われたときの
不安な気持ちが、またグルグル回り出す。


「何いってんだよ。俺の所に来たんだぞ。
 明日休みだし、連れて帰るよ」

なんだろ。顔が一瞬にして赤くなったのがわかる。
「俺の所に」「連れて帰る」
って言葉が心の奥に浸みていった。

やすくんの一言で決定。
ご両親とはコンビニの前でお別れして、
2人でやすくんの晩御飯を買う。

「ありがとね」
「ん?」

私の「ありがとう」の意味、やすくんはわからなかったみたい。

大切にしてくれてありがと。
たった一言が、すごく嬉しかったんだ



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