此処数日、非常に不安定な状態になってしまっていた。 自分は変わった、タフな人間になったのだ、思い込んでいたのが粉砕された。 その思い込みに根拠はなかった。 ただ、あらゆる困難は乗り越えるためにあり、乗り越えることが出来るのだから、状況を楽しめるはずだ、などと考えていたのである。 こんなのは自分じゃない、と、吐きそうになりながら自分に言い聞かせた。 それでも駄目なので、ランディに泣き言を言った。 それは、わたしが自ら望んで招いたことで、ランディに負担をかけて良いことではなかったのに、ランディは黙って聞いてくれ、「しょーがねーだろ。大丈夫だよ。ゆっくりやってこう」と言った。 ああ、そう言えば、この人はこういう人だった。 結婚する少し前、今思えば、あれは、マリッジブルーだったんだな、というような状態にわたしが陥ったときも、「大丈夫だよ」と言って、非常にシンプルに前向きに物事に向かい合っていた。 普段がどんなんでも、わたしがどん底のときに平然としてくれるのは非常にありがたい。 「ありがとう。やっぱ、あなた結構偉いわ」 と言ったら、 「当然だ。そう思うなら、小遣いくれ。五千万くらい」 こういうこと言わなきゃかっこいいとまで思ってやるものを…… 何処にあるんだ、そんな金、というツッコミはしないでおいてやることにした。
|