としょかん日記
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2006年11月06日(月) 例えばこんな質問

図書館員は趣味をたくさん持つべきなんですよ。なぜなら趣味がそのまま仕事につながることがあるから。お客さんがこれこれについてわからないことがあるとカウンターに来た時に、答えられる本を持ってくる簡単になります。下手すると本持ってこなくても回答することもできる(多分しないだろうけど)。

さて、無趣味なわたしがしぼり出した趣味と言えばミステリーとなる。しかしなかなか質問が来ない範囲です。「叙述トリックの面白い作品を読みたい」といわれても、あれとかこれとか出しますけど、そんなんで読んでも面白さ半減でしょ。そもそもこんな質問受けたことないしね。

なんて思っていたら来ましたよ。わたしが配架をしていたら、他の職員が「おまかせしていいですか」とお客さん引継ぎ。話を聞くと「おもしろい推理小説が読みたい」とのこと。それでわたしのとこにきたらしい。こりゃ張り切りますよね。でもその人、よく来館される人で、年齢にしてうちの父親よりも上いってそう。推理小説とか読むの?と半信半疑。それでも宮部みゆきとかいいだろうか、読んだことないけど森村誠一とか内田康夫とかその辺だろうかと高鳴る胸を抑えつつ、まずはレファレンス・インタビュー(専門用語)。

「普段どんな本を読んでいました?」
「さっき返した本はこれなんだけど」と一冊の本を出す。

剣客商売じゃん!池波正太郎じゃん!それって時代小説じゃん!
もうこの辺でいろいろなものがわたしの体から引いていった。
いやいや、それでも一縷の望みを託して…

「今まで面白かった本てどれですか?」
「あーあれだなー」と文庫の棚へ移動する。そして一冊の本を出す。
藤枝梅安じゃん!池波正太郎じゃん!それって時代小説じゃん!
理解したよ。この人にとって小説=推理小説という定義なんだ。

とりあえず文庫の棚にいたこともあり最近流行らしいので佐伯泰英を薦めておく。いつの日かわたしを満足させてくれるレファレンスが来るまでがんばりますよ。


信々 |MAIL

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