「わしは、本の中で、あんたを見た気がする、ちょっと待ってなさい」 お爺さんは、立ち上がると、本棚へむかいました。 かれは、金色の髪に、白い翼を広げ、空に舞う天使の絵を思い浮かべました。かつて自分もそうだったように・・・
ベットのへりで、足をぶらつかせている彼に、おばあさんが小さな声で尋ねました。 「天国っていうのは、どんなところなのかしら?雲の上を歩くのかしら?」 彼はエデンを思い浮かべました。 「地上には緑。たくさん実をつけた木々があって。温かい香りがして・・良いところです。地上で例えるなら・・・・ここです」 彼が笑って答えると、おばあさんも笑いながら 「ありがとう」と言いました。
「あった、これだ」 お爺さんは、絵画の本ではなく、図鑑を手にしていました。
「ほら、ごらんなさい、これは、あんたじゃよ」
彼の開いたページには、青い星ー地球ーの写真が大きく載っていました。
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