東行庵の軒下で

2001年12月20日(木) その五

地球に降りた彼は、海と陸をいくつか越えて飛び続けました。
地上は、エデンのような美しい所と、月のような乾いた砂漠と、魔界のような、炎が国土を焼いている所の、どれもが存在していたのです。

今、天は、青い光をしずかに送る、銀の女神が統べっています。

白い砂浜が眼下に広がり、海が近づいてきました。小指のエンジェルリングの光を頼りに、彼は波打ちぎわにフワリと降り立ちました。すぐに彼の足先を、小さな波がさわっていきました。

引き絞った弓のような、緊張を感じた月の海と違い、優しい、温かささえ感じます。青い色(今は月の光に照らされて、ダークブルーにみえますが)をしているのに何故なのかしら、と、彼は思いました。


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