黒。緑。茶。灰色。紫。紅。
魔界には、さまざまな色が、ひしめき合うようにありました。
「お前、変わった色をしているなぁ。変だなぁ」
彼はドキッとして横を見ました。 そこには、髪も翼も爪も黒い天使がいました。 −悪魔です。 彼は 「大きなお世話だ!」と、アクマに言い返しました。 アクマは笑いながら 「そうだな、色なんてカンケーねぇか。ここで必要なものは、そんなもんじゃねぇからな」 というと、薄いうぶ毛の生えたコウモリのような羽をピンと張り、彼の腕をぐいっとつかんで滑空しはじめました。
針のようなとがった屋根をいくつも持った城が、薄暗い空に向かってそびえています。天へ、剣を向けるかのように。
城の周りは、濃い緑と黒と炎のちりばめられた森が、ぐるりと取り巻いています。煙も立ち昇ってます。 どうやら、戦争のようです。
「どうして、戦争してるんだ?」 アクマは、ニヤニヤしながらこたえます。 「戦いたいからさ、殺し合いをしたいからさ」 「王様は?!何をしてるんだ??」 「魔王様がくれた自由さ。あの方は、手に入れた魔界を「治める」気などサラサラ無いのさ」 自由? 「殺す自由。でも、相手にも、殺す自由があるから、いつかは自分が殺されてしまう。魔王様は、誰よりもチカラが勝っているから、君臨してるんだぜ。・・・今のところは、な」
えっ!? アクマの含みを持たせたその言葉に、気を取られた瞬間。 彼は、アクマにお尻を思いっきり蹴り上げられました。ぐんぐん上昇していきます。 「いってぇ〜〜〜〜〜!!!!」 「天使の尻を蹴り上げる自由だ。ケケケ」
|