東行庵の軒下で

2001年12月17日(月) その弐


彼は、楽園を守る智天使・ケルビム達のところへ行きました。
彼らは、二番目に高い階級の天使達で、青い翼を持っています。

「青の天使様。僕の羽を染めたのは、あなた方なのですか?」
ケルビム達は、首を横に振ります。

彼は、がっかりして、エデンの外の世界に視線を向けました。

「待ちなさい」
ケルビムの一人が彼に歩み寄ると、彼の頭上に輝いていたリングを、小さな指輪にしてしまいました。
「下界へ降りるのなら、エンジェルリングは小さくしておきましょう」
そのケルビムは、彼の右手の小指に、小さくなったエンジェルリングを、はめてあげました。
「昔、二人の天使が地上に降りましたが、地に足が着くと同時に、もう二度と天界へ戻れない姿になってしまったのです」
 もう一人のケルビムは言いました。
「気をつけなさい。悲しみや、悩みを抱え込むと、飛べなくなりますからね」


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