「今から行くからね」 朝早く 母から電話がかかる 病気の私を 心配しているのだ
「来なくて良いよ」 私がそう言っても 母は来ると言ったら 必ず来る
私に少し 強情なところがあるとしたら それは 母親に似たのかもしれない
暑い日であろうと 寒い日であろうと 40分間歩きとおして 私のマンションまでやってくる
前は 私の好物を買ってやってきた 今は 自分の好物を買ってやってくる
来てくれた母のために 私はベッドから起き出して コーヒーをつくり 朝食になりそうなものを差し出す
母は ここに来たいのだ だから ここで しばらく休んでいけば良い
点滴を受けに行った帰り道 一人分のお弁当を買って帰る
母は 美味しそうに食べながら 「けいこちゃんは どうして食べんの?」と聞く 「私はおかゆしか 食べられんのよ」 と笑って答える
母がいると 忙しくなるけど 母がいると 心があったかくなる
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