詩集 ”心の扉をひらいて

2006年08月19日(土)

「今から行くからね」
朝早く 母から電話がかかる
病気の私を 心配しているのだ

「来なくて良いよ」
私がそう言っても 
母は来ると言ったら 必ず来る

私に少し 強情なところがあるとしたら
それは 母親に似たのかもしれない

暑い日であろうと 寒い日であろうと
40分間歩きとおして
私のマンションまでやってくる

前は 私の好物を買ってやってきた
今は 自分の好物を買ってやってくる

来てくれた母のために
私はベッドから起き出して
コーヒーをつくり
朝食になりそうなものを差し出す

母は ここに来たいのだ
だから 
ここで しばらく休んでいけば良い

点滴を受けに行った帰り道
一人分のお弁当を買って帰る

母は 美味しそうに食べながら
「けいこちゃんは どうして食べんの?」と聞く
「私はおかゆしか 食べられんのよ」
と笑って答える

母がいると 忙しくなるけど
母がいると 心があったかくなる
 
 
 


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