2012年10月13日(土) |
てぃるのぐ建国祭(仮)・その10 |
「また徹夜で仕事してたの?」 あきれ顔のクレイアに『ん』とひとつうなずく。 「三日前から頼まれてた。ようやくまとまったから昨日の夜からずっと……」 「ずっと?」 柳眉がつりあがってるのがわかったんだろう。声のトーンがだんだんとさがっていき、しまいにはなんでもありませんと小声になってしまった。 「三日前からほとんど飲まず食わずで、しまいには徹夜で仕事していた、と」 「イオリさん?」 相方の声がますます小さくなっていく。本来ならここで裏拳かお星様にするところだけど、今日だけは別だ。 「その仕事は終わったの?」 「ん」 弱々しくうなずくダークグリーンの瞳を確認すると、四本の指を突き出す。 「四日間。その間にできるものをお願いしたいんだけど」 「曖昧すぎてわからない」 もっともな返答に、それもそうかと腕を組む。依頼を受けて作品を仕上げるまでの期間はぴんからきりまで。簡単なものなら彼一人で十分だけど、工房を立ち上げてからは期間の三分の一くらいはわたしがデザインを請け負っている。 「できる限りでいいの。もちろんお金は払うから」 その点においては今回は問題ないかもしれない。 「これを四日間で作れってこと?」 突きつけられたスケッチブックとわたしの顔を交互に見比べる。本来なら無茶なお願いかもしれないしもっと期間を設けてもいいのかもしれない。だけど、予感がする。急がないと何か大変なことが起こりそうな。 「本当にできる限りでいいから。お願い」 「……もしかして、以来の主はイオリ?」 「そう」 それはイオリ=ミヤモトがユータス=アルテニカに初めて頼む、正式な依頼だった。
過去日記
2006年10月13日(金) 彼女or彼氏ができました 2005年10月13日(木) 文を書くときに使うもの 2004年10月13日(水) 我が家のFE事情・その1 2003年10月13日(月) 病院行ってきました
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