2012年10月04日(木) |
てぃるのぐ建国祭(仮)・その3 |
拝啓お父さん、お母さん、ばあちゃんへ 元気にしてますか? わたしは相変わらずの施療院と工房の二足のわらじをはいています。大変だけど、充実した日々をおくってるんだよ。みんなは元気にしてるかな。 大変と言えば、もうすぐ誕生祭がはじまります。お父さんのほうが詳しいのかな。正確には『ティル・ナ・ノーグ誕生記念祭』っていって――
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「また手紙?」 友人の声に手を止める。 「変かな」 「変じゃないけど、あんたもよく続くわね」 普段の見慣れた作業着とは違ってモスグリーンのワンピース。わたしもいつもの仕事着じゃなくて、白花(シラハナ)の服装をしている。 確かにこんなとこまで手紙を書くのって変わっているのかも。でも一度週間づいてしまったものはなかなかぬけそうにはないみたい。 わたしイオリ・ミヤモトがティル・ナ・ノーグを訪れてはや二年。一通りの行事は頭に入ったし、生活習慣も身についた。もちろんここまで来るまでに紆余曲折は多々あって。そもそも遠い白花(シラハナ)からここまで勉強にくることを許してもらったのも手紙で現状を報告するというお母さんとの条件をのんだから。お父さんは『絶対嫁には出さないからな。彼氏なんてもってのほかだ!』なんて変な条件を突きつけようとして、お母さんに―― 「何かあった?」 手をとめたわたしに気づいたのか、クレイアが首をかしげる。 「ちょっと、嫌なこと思い出して」 筆をとめて、こめかみに指をあてる。 何度も言ってるけど、わたしの家はわたしとお父さんにお母さん、ばあちゃんの四人ぐらし。正確には飼い犬のユウタがいて。 「嫌な事って?」 嫌というか、思い出したくないというべきか。 悩んで悩んで、また悩んで。 「お父さん」 友人に告げたのはわたしの父親、イザム・ミヤモトのこと。
過去日記
2004年10月04日(月) 僕が髪の毛を気にする理由(仮)・その3 2003年10月04日(土) 師匠について
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