つれづれ日記。
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2012年08月27日(月) アール・エドレッドの場合(仮)・3

「これ美味いよな。どうやって作ってるんだろ」
 グラタンを口に含みながら離すと目の前の男は同意した。
「だろ? はじめこれを食べてるの見たときは吐きそうになったんだけど、実際口に入れたらおいしかった。考えてみれば、魚だって小魚を食べて生きてるんだ。ここで食べてあげなかったらそれこそ同胞達の死が犠牲になってしまう」
 違和感を感じながらもうまいうまいとフォークを動かすのは藍色の髪の男。背丈はアールとほぼ同じくらいで年の功なら自分とほぼ同じ、もしくは年かさといったところか。髪や耳には真珠を連ねたような飾りがありこの地域には珍しい服装をしている。波の模様が描かれた青の外套に同系色のズボン。上から下まで同じ色でまとめられていた。表題をつけるとすれば、さしずめ『青い男』といったところだろう。
 服装もさることながら椅子に置かれた同色の布袋も奇異なものだった。大事なものだろうかと親切心で持とうとすればずっしり重い――どころの話ではない。
 持てなかった。成人男子の力をしてもうんともすんともいわない。引きずろうとすれば中から奇妙な音がして慌てて手放した。一体なんなんだ、これ。
 男が気がついてから尋ねようとしたが、男の紫の瞳は目の前の皿をたいらげることに夢中になっていてそれどころではなさそうだ。つい数ヶ月前、自分も同じ事をやってしまった――今となっては居候のきっかけになった――のでここは黙って見守っておく。途中『本当にお腹が空いてたみたいですね』と店員に笑われたのを流しつつ、アールは辛抱強く待った。
 待ちに待って。ようやく水を喉に流し終えたところで男は口を開く。
「オレはリザ。リザ・ルシオーラ。さしずめ海の道楽息子ってところかな」 






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2005年08月27日(土) ある意味妄想
2004年08月27日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,19UP
2003年08月27日(水) 四章を書きたい!
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