2012年05月17日(木) |
白花(シラハナ)への手紙(仮)・96 |
言われてみれば思い当たるものはあった。可愛らしい容姿に居丈高な口調。
「彼らは久しぶりにここに来てくれてね。話がはずんでる間に彼女がいなくなってしまったんだ」 ここへは何度かきたことがあるんですかと尋ねると、年に1、2度ほどねと返される。なるほど。楚羽矢さんはその時に見かけていたんだ。 手紙って人と人をつなげるものなんだな。今更ながらに思う。単身で旅立つ時にお母さんとした約束。そう言えばここのところ書いてなかったな。今度出してみよう。
「ここにはいない人にも届くものですの?」 クレイアのお店で言ったメリーベちゃんの呟きが今ならわかる。今回の訪問は領主様に自分の父親が亡くなったことの報告。初めてみたお兄さん達は成人していて、明らかにメリーベちゃんよりもはるかに年上だった。お父さんがいなくなってきっと寂しかったんだろう。 「お話は終わりましたの?」 「ああ。明日には出立するよ」 お兄さんに背筋を伸ばして応じる女の子がたくましくもあり、同時に痛々しくも見えた。 「イオリはずっとここにいますの?」 「いるよ。まだまだ修行中だから」 正確には弟子にすらなっていないけれど。それでも、だからこそもっと勉強しなくちゃならない。 「仕方ないですわね。案内の続きは次にお預けですわ」 「メリーベちゃん。少しだけ時間もらえるかな?」
過去日記
2010年05月17日(月) 委員長のゆううつ。41 2006年05月17日(水) 自分らしく? 2004年05月17日(月) あと少し。
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