2010年04月29日(木) |
委員長のゆううつ。25 |
それからちょくちょく顔を合わせることになるかと思いきや。 「まったく会わないのよね」 先輩と顔を合わせることはなくなった。 先輩は2年5組であたしは1年6組。1年と2年の教室棟は花壇を挟んで反対側にある。いるかいないかは2年棟にいけばすぐわかるんだろう。でもあたしと先輩はそこまで親密な間柄でもなく。仮に教室をのぞいて女の先輩方に変な視線を向けられるのはもってのほか。仕方ないから心の片隅で気になりつつ今日という日を迎えていた。 今日は11月の半ば。楠木高校の文化祭だ。 「調子はどう? 大沢」 クラスメイトの男子に声をかける。 「任務完了。いつでもいける」 あたし達1年6組の出し物はクレープ屋さん。多数決で決まった。次点はカラオケだったけど、わざわざお店に取り付けるのも面倒だったからこっに決まってくれてほんとありがたい。 「準備はできた。あとはこいつを戦場に送るのみ」 声をあげると、クラス全員の顔つきが変わった。この雰囲気があたしは好き。ひとつのことをみんなでなしとげていく。それなりに困難はあるけれど、まとまった時の高揚感や達成感は感慨深いものがある。 「開店!」 パパンッ! クラッカーが勢いよく鳴り、入り口が開く。こうして1年6組の文化祭は幕を開けた。
過去日記
2005年04月29日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,53UP 2004年04月29日(木) 「EVER GREEN」5−13UP
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