つれづれ日記。
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2012年04月26日(木) 白花(シラハナ)への手紙(仮)・76

「ここが僧帽筋で、ここが上腕二頭筋」
 リオさんから借りた本をもとに復習する。カターニャさんからいただいた本にリオさんの解剖学の本。骨格マニアと自称するだけあって、本人は様々な部位の名前が記されてあった。
 イレーネ先生の施療院は半分自宅を兼ねている。以前は住み込みの弟子もいたところだけど、右も左もわからない、ましてや一般的な言葉もままならない人間は足手まといの他ならない。だからこそ突きつけられたのはこの二冊の本。解剖学に薬学。専門の道に進むわけではないにしても医学には十分連なるものだ。だから、こうして日がな本を読み耽っているけれど。
「これは、この意味で合ってるのかな」
 いかんせん、母国の白花(シラハナ)の言葉でないから発音に疑問が残る。
「イオリちゃん、いるー?」
 ためらいがちにノックされた後、入ってきたのはアルテニカ家の長女、ニナちゃんだった。
「また勉強? すごいなあ」
「そんなことないよ。わからないことが多すぎるだけだから」
 ちなみにティル・ナ・ノーグの言葉はたびたびニナちゃんやウィルくんに教わっている。ただでさえ居候させてもらっている身でおばさまに質問するのも気が引けるし、ユータスさんに教わるのも気が引ける……というより、眠っているかぼーっとしている姿しか見ないから別の意味で聞きづらい。どうしようかと迷っていると、『だったら任せて!』と二人に意気込まれてしまった。ちなみにニナちゃんもウィルくんもわたしより年下。プライドとか気にする人は気にするのかもしれないけれど、単身異国に来た身でそんな悠長なこと言ってられない。むしろ居候の上に感謝しかないと伝えたら、『将来のお兄ちゃんのためだから!!』と妙に意気込まれてしまった。






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