2012年04月22日(日) |
白花(シラハナ)への手紙(仮)・72 |
新しい薬を頼んでいたんだ。お茶の礼も兼ねてお使いに行ってきてくれるかい?
イレーネ先生に頼まれた課題の一つだ。今までは院長先生と呼んでいたけれど、イレーネでいいと言われてからは、こう呼ぶことにしている。 「この道を真っすぐ行って、今度は左に曲がって」 いつものように、地図を頼りに道を歩く。今回は案内役のユータスさんはいない。アルテニカ家には厄介になり続けてるし、いつまでも頼りっぱなしでは悪いし。そもそも彼は職人さんなんだ。人にかまっている場合じゃないだろう。そう思っていると、『いいから連れ出してあげて。この子にお日様の光を浴びさせてあげて』と半ば懇願のようなお願いをされた。流石にいたたまれなくなって、次の機会の時はご一緒させていただきますと返したけど。 アルテニカ家は基本的には仲がいい。だけど、長男に対してだけはなんというか、過保護の反対をいっているような気がする。あえて崖に突き落としているというか。突き落とされた本人は存外ケロッとしているから成り立っているのかもしれないけど。修業先の工房へは半分住み込みで働いているらしい。形は違えどわたしのやりたかったことをずっと前からやっているのは素直にすごい。 「アルテニカ家じゃなくて、まずは自分のことから始めないと」 異国へやってきたのは居候をするためじゃない。医学を学ぶためにきたんだ。これはその第一歩。気を引き締めないと。 ぱんと両手で頬をたたき、歩みを進める。目の前にはお茶のポットと何かの植物が描かれた看板があった。
過去日記
2011年04月22日(金) 「委員長のゆううつ。」STAGE1−11UP 2010年04月22日(木) 委員長のゆううつ。19 2007年04月22日(日) 「EVER GREEN」11−11UP 2004年04月22日(木) 健康診断
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