2010年04月22日(木) |
委員長のゆううつ。19 |
「なんでぼくがこんな目に遭わないといけないのさ」 ほおをさすりつつ、なおも恨みがましい視線を向ける先輩をよそに今度は紅茶に口をつける。 「案外、女々しかったんですね」 一口ふくんだ途端に口のなかに甘い味が広がる。おいしい。あとでもう一杯もらおう。 「覚えておいて下さい。自分のほおをひっぱるのは夢か現実かを見分けるうえで、重要な動作なんです」 「それはあなたの世界でなんですか?」 「そうです。とりわけ日本人の」 間に入った長身の男の人(まだ名前は聞いてない)にうなずきを返す。 「でもぼくが痛いだけじゃ何の意味もないだろ」 そこはのりです。 と言うよりもちょっとした嫌がらせです。ということは表面におくびも出すこともなく。紅茶を飲み干しながら今までのことをふり返る。 学校からの帰り道に何かがおこってこうなった。目の前には久しぶりに見る銀色の髪の先輩と見ず知らずの長身の男の人。 ここが今までいた場所じゃないってことだけはよくわかった。わかったからにはやるべきことは一つ。 「状況説明をお願いします」 空になったカップを机の上に置くと、目の前の二人に向かって深々と頭を下げた。
過去日記
2007年04月22日(日) 「EVER GREEN」11−11UP 2004年04月22日(木) 健康診断
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