2012年03月27日(火) |
白花(シラハナ)への手紙(仮).48 |
おばさん達はどうしてるんだろう。手紙にも引っ越したってちゃんと書いとかなきゃ。そんなことを考えていると、人の気配がした。 「あれ? うーんと……誰?」 寝ぼけ眼で目をこする男の子。確かヴィルド君だったよね。 「おはようございます。昨日お世話になった宮本伊織――イオリ・ミヤモトです」 「ええっと、おはようございます。ヴィルド=アルテニカです」 こする手を止めておじぎをする。 「ええっと、なんでここに?」 「あなたたちのお母様からみんなを呼んでくるようにってお願いされたの」 そっかと手をたたく男の子。どうやらだんだんと目が覚めてきたらしい。 「みんなって、兄ちゃんと姉ちゃんだよね。姉ちゃんなら――」 「おはようございます!」 こっちはしっかり身支度を整えた妹のニナちゃんだった。 「昨日はお世話になりました」 おばさまやヴィルド君と同じようにお礼を言うとそんなにかしこまらないでくださいと言われた。つづいてこんなことも。 「もとはといえば、お兄ちゃんが悪いんだから。いっつもそうなんです。あてもなくふらふらさまよって最後はグールみたいに倒れてるんだから」 「時々オレ達も捜索手伝わされるんだよな。弟のオレが言うのもなんだけど、もうちょっとしっかりしたほうがいいと思う」 しっかり目が覚めたヴィルド君も続けてこの台詞。どうやら昨日出会った男の子はなんというか、その、兄弟にあまり信用されてないらしい。 「それで、あなたたちのお兄さんはどこに?」 肝心の質問をすると、アルテニカ兄弟の長女と次男は二人顔をそろえてこう言った。 『またグールになってる』
過去日記
2010年03月27日(土) 「花鳥風月」05UP 2006年03月27日(月) 眼科 2005年03月27日(日) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,48UP 2004年03月27日(土) 「EVER GREEN」5−8UP
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