2012年03月23日(金) |
猫と魚の雨宿り(仮)・5 |
「そういうあなたはどうなんですの」 「オレ?」 まさかオレに興味を持たれるとは思わなかったからつい手が止まってしまった。 「何か目的があってここ(ティル・ナ・ノーグ)へきたんじゃありませんの」 「……どうしてそう思うんだい?」 「目。行き場を失った人間の子どもみたい。ずいぶん大きな迷子みたいですわね」 「そうかもね」 きっと。ずいぶん前からオレは迷子なんだろう。
――オレが、君を連れて行く――
「置いていくんだ」
――連れて行ってあげるよ。ティル・ナ・ノーグへ。
「みんながオレを忘れていく。どんなに親しくても、どんなに憎々しくても」
――いつか、世界で一番綺麗なものを二人で見に行こう――
「オレもまだまだだよな」 本当に。
過去日記
2004年03月23日(火) 送別会
|