2012年03月24日(土) |
猫と魚の雨宿り(仮)・6 |
「さっきからずいぶん悲観的ですのね」 確かに。感傷的になってしまったようだ。オレらしくもない。 たぶんこれも雨のせいだ。 「別にわたしは全てを放棄したわけではありませんわ」
「猫になってあなたを食べるのも楽しそうですもの」 ガタッ。 「冗談ですわ。それくらいわかるでしょう?」 「そうだね。冗談、だよね」 ぜひ冗談であってほしい。呪いをかけられたとはいえ猫に喰われておしまいという結末だけは嫌です。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「本当にやみましたわ」 二人で頼んだ食事を食べ終えた頃。雨はすっかりあがっていた。これからどうするのかと尋ねると家(ブランネージュ城)に帰るらしい。 「ヤーヤ」 振り向きざまに声を送る。 「君に、海の恩恵のあらんことを」 きっと今日のことは忘れてしまうんだろう。それでも君はヒトなのだから。自分で決めた道をしっかり歩いてほしい。
――行ってみたかったなぁ。ティル・ナ・ノーグに――
「やってきたよ。テティス」 父なる海はきょうも、穏やかな波をたずさえて輝いていた。
過去日記
2004年03月24日(水) ミーハーにつき。その3?
|