つれづれ日記。
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2012年03月14日(水) 今宵、魚のみる夢は(仮)・13

 リールがよく使うのは手に携えている三つ叉の矛。よく耳にするだろ? 雷とか津波とか。雷鳴はリールの怒りってよく言うけど、そこまでとはいかなくても当時の魚にも真似事ができた。

 逃げ惑う人々。当然だ。彼女を傷つけたからこうなった。
 吾(われ)に矛を向けたのだ。相応の報いを味わうといい。
 
 本性を傷つけられても後悔はなかった。むしろ倍の勢いで目前の人間達を屠ることで精一杯だった。

 滅べ。滅せよ。
 こんな愚かな種族など消えてしまえばいい。

「獣めが! 本性をあらわしおったか」
 目前には人間の親玉が、彼女の父親が倒れていた。こいつが悪いのだ。こんな人間など滅ぼしてしまえ。
 ニンゲンハウミノテキ。
 サア、スベテヲコワシテシマオウ――
「リザ。もうやめて!」
 そこに。いるはずのない彼女がいた。

「半人前がいきがってんじゃねえ」
 同時に。久々に聞く男の声がした。
「馬鹿野郎が」
 長身の目つきの鋭い男。彼こそ魚の父親であり、海の長と呼ばれるものだった。
「父上……」
「そっちの人間の娘のほうが、てめぇより余程理解がある。なりふり構わず壊してんじゃねぇよ」
 海の長が告げたものはまごうことなき正論だった。






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