2012年03月13日(火) |
今宵、魚のみる夢は(仮)・12 |
「愚かなのは貴様だ」 こんなに怒ったのは久しぶりだった。 「この娘は手前(てめえ)の娘じゃないのか。自分の娘になんてことしやがる!」 自分の利のために身内を見捨てようとする。あってはならないことだった。こんな輩、オレの手で 「お願い。逃げ――」 「逃げない」 彼女を砂浜に横たえて。傷口に手を当てる。人間にオレの能力が効くのかわからなかったけど、何もしないよりはましだったから。 今度はオレ自身に矢が当たった。本性じゃなかったから最悪の事態は免れる。でも腕の中には息も絶え絶えなテティスがいる。逃げられるわけがない。 いや。逃げたくなかった。 こんな人間に背を向けるなんて海の民としての誇りが許さなかった。 「海に眠りし者たちよ。吾(われ)が命ず」 ざわり。体の感覚が研ぎ澄まされていく。気配を感じた兵士達が後ずさりをしても、もう遅い。 「厳霊(いかつち)を以て吾が目前を退けよ」 人の姿が霧散して代わりに現れたのは巨大な魚。
許さない。 ユルサナイ。
愚かな人間よ。その身をもって償え。 貴様らが手中に収めようとしたものがどれほどのものか、身をもって味わうといい。 人間は敵。 海に通ずる者、すべての排除すべきもの。
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