2012年03月12日(月) |
今宵、魚のみる夢は(仮)・11 |
「お父様はあなたと契約を結ぼうとしている」 彼女の言葉に愕然とした。 彼はオレの力を使って国を滅ぼそうとしていると。リールじゃなくてもオレ程度ならなんとかなるだろうと思ったらしい。オレもなめられたもんだよね。 魔法使いになるには精霊との契約が必要だ。もちろんだれでもなれるわけではないし、リスクだって必要になる。 「お願い。逃げて!」 「かまわん。そいつを狙え!」 彼女の言ったことは本当だった。彼女の父親は本気でオレを取り込もうとしている。 「君も来るんだ!」 返事を待つよりも早く彼女の手を取って走り出す。海に連れ出せばあとはオレの独壇場だったから。そこまでもてばなんとかなる。それもあるけど何よりも彼女を父親とはいえあんな人間のそばにおけなくなった。
オレなら、もっといろんなところへ連れていってあげられるのに。 オレなら、もっと笑わせてあげられるのに。
気持ちの正体に気づくのに時間はさほどかからなかった。でも気づいた時には敵の手中にいて。どうにもならない状況で。 「リザ、危ない!!」 体に衝撃が走ったのと彼女が倒れたのはほぼ同時だった。 息はあった。けど、とても動ける状態じゃない。信じられなかった。なんで自分の娘にそんなことができるのか。 「どうしてそこまで愚かなのだ。お前は」 どうしてそんな言葉が吐けるのか。
どうして。人間はこんなにも愚かなんだろう。
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