つれづれ日記。
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2012年03月02日(金) 今宵、魚のみる夢は(仮)・2

 それにしてもと前置きして、フォルトゥナートが息をつく。
「いつまでここにいるんですか」
「雨がやむまで」
 そう言うと椅子に体をあずける。
「本当に一時間でやむかも怪しいところですね」
 なんだかオレと会うたびにため息をつかれているような気がする。オレってそんなに信用ない?
(「リザ。なにか面白い話でもしてやれ」)
「オレが?」
 帰結の精霊が妙案だとばかりに手をたたく。なんでそんな流れになるのかはわからないけど。
(「部屋を借りているのはお前だろう。少しは友人の退屈しのぎにつきあってやれ」)
 僕は退屈していませんし、友人の部類にしてほしくないんですがという声は聞こえなかったことにする。
「気になるの?」
「ええ、まあ」
 珍しい。この子が興味を持つこともあるんだ。
「長い話になるよ?」
「かまいません。時間はありますから」
(「かまわぬ。早く話さぬか」) 
 いつの間にか、フォルトゥナートとシリヤまで椅子に座っていた。どうやら話さなければ帰してくれないらしい。
「むかしむかし。あるところに一匹のお魚がいました」

 それは、遠い昔に魚がヒトになる前の物語。






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