2012年03月01日(木) |
今宵、魚のみる夢は(仮)・1 |
外は雨が降っていた。 「雨だね」 (「雨だな」) 「雨ですわね」 豪雨と呼んでいいんだろう。夕方から降り始めた雨はなかなかやむそぶりを見せない。 「私としては、どうしてあなた方が私の部屋でくつろいでいるのかを知りたいのですが」 お茶を飲みながら友人の(と言ったら眉間にしわを寄せられた)フォルトゥナートがため息をもらす。だって雨宿りをする場所といったらここしかないじゃないか。海竜亭でもよかったけどなんとなく気分がのらなかったし。 (「そう気をもむな。たまには雨をめでるのも面白いだろう」) 「そういうわけにもいきません。明日はノイシュ様が外出されるのですから」 大丈夫でしょうかと思案顔のフォルト。前々から思っていたけど彼は生真面目がすぎるんじゃないだろうか。 「大丈夫だよ。あと一時間もすればやむから」 「どうしてわかるんです?」 (「こいつはこう見えて我よりも長生きしてるからな。それくらいのことは造作もない」) 「あなたよりも?」 「……なんでそこで驚くかなぁ」 どうもオレは、この姿だと並の人間よりも軽く見られてしまうらしい。不本意だけど。 「それもあなた(海霊)の能力なんですか?」 「昔教えてもらったんだ」 そう。ずっと昔に。
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2006年03月01日(水) なんとか終わりました 2004年03月01日(月) どうなる?
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